サイレントマイノリティーの票のゆくえ
現在石破氏は議員票のうち約40票を固めたと言われています。選挙では実際にここからどれだけ票を獲得できるかが注目となります。選挙自体は無記名の投票ですから、“サイレントマイノリティー”が「安倍不支持」に回る可能性があります。石破氏が仮に3桁に迫る議員票を獲得すれば、自民党内に相当数の「隠れ反安倍」の勢力が存在することになり、仮に安倍首相が3選を果たしても、その声を完全に無視するのは難しくなるのではないでしょうか。ましてや、党員票も含めて200票近くを石破氏が集めることができれば、形のうえでは安倍氏が圧勝でも、思った以上には「安倍一強は幻想」という印象が生まれることになります。
いずれにせよ、安倍氏が三選を果たした後の内閣改造は30日投開票の沖縄県知事選後になるでしょう。今回は主要派閥が「安倍支持」でまとまったため、明確な「功労者」がいません。派閥の優劣を付けづらく、安倍氏は改造人事をフリーハンドに行える反面、安倍支持を表明したすべての派閥が満足のいく人事を行うのは、ポストの数が限られている以上不可能でしょう。圧勝することで、逆に党内の不満が蓄積する可能性があるのです。
さらに予想以上に石破氏が健闘し、挙党一致体制を作るために石破派にも配慮せざるをえない状況になった場合は、より「人事の不満」は党全体に広がることになるかもしれません。
そう考えると、総裁選はもちろんですが、その後の改造人事が安倍氏の手腕が問われる場になってくると考えられます。そういう視点から総裁選を観るのもよいのではないでしょうか。いずれにせよ、安倍氏、石破氏両氏には、この国をどうしていきたいのか明確なビジョンを選挙戦で示してほしいですね。
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10日発売の「文藝春秋」(10月号)に掲載の「平成自民が失った『賢人たちの世』」では、後藤氏が政治学者の御厨貴氏と総裁選について、談論風発の活発な議論を交しています。その模様も、是非発売中の「文藝春秋」でご確認ください。