一度で効率を最大限上げるために、17歳の息子の血漿を自分に、自分の血漿を70歳の父親に、3世代まとめて輸血する。

 この結果についてインタビューされたブライアンは、息子の血を輸血した自分は、そこまではっきり効果を感じなかったものの、父親の方はバイオマーカーの数値などから、老化速度が一気に25年ほど遅くなったから大成功だ、と満足げに答えた。

 他にも、南米の島まで行って未承認の遺伝子医療を受けたり、3億個の若い幹細胞を、肩、腰、関節に注射して臓器を若返らせるなど、ブライアンの若返りスケジュールは、ずっと先まで異常に忙しい。

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 グローバル化した世界では、政府の規制や倫理的疑問を、国境を越えることでクリアできる。南米ホンジュラスの端にあるロアタン島の経済特区で、2万5000ドル支払えば、その日のうちに遺伝子治療を受けられる。

 製薬・バイオ業界は大喜びだ。

 通常、新しい遺伝子治療や幹細胞治療が市場に出るまでには、10年以上の歳月と巨額のコスト、厳しい規制当局の監視が必要になる。

 本来、製薬企業側が被験者に謝礼を払って行う実験を、ブライアンのような超富裕層が欲望のために「自ら金を払って」受けてくれるのは、業界にとって、リスクを個人に外注しながら果実だけ得る究極のビジネスモデルだ。

 年間200万ドルを投じて行われる100以上のバイオマーカー測定データは、「最もリッチな非公式臨床データ」になる。副作用で顔が腫れ上がった、特定の薬剤(ラパマイシンなど)を中止するプロセスさえも、1ドルも払わずに「失敗の教訓」として吸収できるのだ。

SNSに溢れる大量のアンチコメント

 専属医師30人の管理下で、ブライアンは自分の身体で実験したすべての不老手法の内容と、毎日測る82カ所の内臓データを、複数のSNSを通して全世界に公開している。

 400万人のフォロワーが、実験結果の目撃者だ。

2024年4月10日にブライアン・ジョンソンがXに投稿した容姿の変化を示す写真

 現時点(2026年5月)で、48歳のブライアンの肉体年齢はマイナス5歳、心臓機能は39歳で、白髪は8割消滅。SNSには、毎日、好奇心や憧れ、アンチコメントが大量に書き込まれる。

 ブライアンは自分の実験にこれだけのコメントが来るのは当然だ、と言う。

「だって、長生きは世界共通の、人間なら誰もが持つ欲望だからね」

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