前田はグラウンドに近づくことすら禁止された。
「毎日学校の周囲を黙々と走っていました。辛かったと思いますが、あえて『頑張れ』とか声は掛けなかった。それが彼のためになると思っていたので」(同前)
「何人か悪いのがいるから鍛え直してくれ」
この間、当時のサッカー部の吉永一明監督に頼まれて前田を受け入れたのがベーカリー「パンの木」のオーナー、小池志直氏だ。
「吉永さんが『何人か悪いのがいるから鍛え直してくれ』と頼んできたのが大然たちだった。ちょうど工場の周りに砂利を敷きたくて人手が欲しかったので、最初にやらせた仕事がそれ」
平日は朝5時から7時まで働き、学校に通った。主な仕事はカレーパンを揚げること。
「大然は無口で、文句も言わなかった。俺は、仕事は厳しいんだってことをあいつらが感じてくれればいいと思ってた。だからバイト代も少し出した。カツ丼でもラーメンでも食う金はあげたいなと思ってさ」(同前)
吉永監督の紹介で社会人サッカーチームの日川クラブにも参加。当時のチームメイトの堀井裕介氏が語る。
「大然は無口だけど素直で律儀。練習も欠かさず来ていたし。そして速い」
飯田氏は「2年生の秋頃から顔つきが良くなってきた」と回想する。
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