違法捜査のチェックがしやすくなる「被疑者ノート」で依頼者のサポートも

 作中では、弁護人が被疑者に持たせる「被疑者ノート」なるものが登場する。

 被疑者が取り調べの内容や日々の出来事を書き留め、自白の強要など、警察による不当な取り調べを牽制する狙いがある。

「被疑者ノートは最初の接見の際に必ず渡しています。違法捜査のチェックがしやすくなりますし、留置施設の中での不満や不安を書き込むことができ、依頼者の心情も少しは楽になるはずですので」

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警視庁月島署新庁舎の留置施設 ©時事通信社、2014年撮影

 一方ドラマでは、大物ヤクザである依頼者が、組織の構成員に連絡するため接見時に携帯電話を貸し出すよう九条に要求する場面があるが、実際はどうか。

「接見時の携帯の貸し出しは懲戒事案ですし、弁護士のほとんどがやっていないと思います」

 リアル刑事弁護士の上野氏は、どんな事件を担当してきたのか。

 たとえば海外にいる友人に頼まれ、麻薬が入っている郵便物を軽い気持ちで受け取ってしまい、麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕・起訴されたケース。

 営利目的の麻薬密輸事件は重罪であり、同種の事案では実刑判決が下されることがほとんどだという。

「依頼者には、幼いお子さんがいて、実刑になったら家庭が崩壊してしまう状況だった。依頼者が密輸による利益を全く得ていない証拠を積みあげ、裁判官に減刑を求めました。結果、同種の事案では極めて稀な執行猶予付き判決を得ました」

トクリュウの弁護も

 やはり気になるのは、ヤクザや反社会勢力との日常的な“黒い接点”だ。

「95%以上が一般の普通の社会生活を送っている方ですよ。犯罪集団の弁護もしたことはありますが、割合としては多くないです」

 だが、その残り5%には、近年凶悪事件を相次いで起こしているトクリュウ(=匿名・流動型犯罪グループ)が含まれるという。

「詳細は明かせませんが、日本を騒がせた広域強盗集団や日本最大級のスカウトグループのメンバーの弁護を担当したことがあります。有名な反社集団の幹部が私を訪ねてきたこともありますね」

 九条弁護士には、反グレのリーダー・壬生憲剛(みぶけんご)(町田啓太)の仲介で、壬生の手下などが起こしたひき逃げや薬物売買の弁護依頼が次々と舞い込んでくる。

「壬生みたいな、裏社会の仲介人はいません。基本は単発の依頼を請け負っています」

《この続きでは、刑事弁護士を目指したきっかけ、絶対に引き受けない依頼内容、そしてなぜ「悪人」を弁護するのかなどを、上野氏が語っている。記事全文は現在配信中の「週刊文春 電子版」で読むことできる》

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