【シニアホーム特集】
シニアホーム選びは安心の人生の第一歩

資産運用や相続以外にも、老後の準備として検討しておきたいのが終の棲家のことだ。ここではシニアホームを選ぶ際のポイントや注意点について、300回以上の施設への見学経験を持つファイナンシャルプランナーの畠中雅子氏にアドバイスしていただく。

「2度の住み替え」で無理のない資金計画を

 シニアホームは近年、サービスが充実した賃貸住宅やシニア向け分譲マンションなど、選択肢が広がり、「施設に入る」というネガティブな印象は薄れつつある。自らの意思で、より豊かな暮らしを求めてアクティブに住み替える人も少なくない。こうした状況を踏まえ、畠中氏が提唱するのが「2度の住み替え」という考え方だ。「1度目は、一人暮らしに不安を感じ始めた、要介護認定を受けるかどうかくらいのタイミングがいいでしょう。この段階では、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や住宅型のシニアホームなど、比較的自由度の高い住まいに住み替えます。本格的な介護が必要になったら、2度目の住み替えとして、介護サービスが充実したホームへ移るのです」。段階的に住み替えることで、ライフステージに応じた住まいを選択しやすくなり、無理のない資金計画を立てやすくなる。介護度が重くなってから、あわてて施設に移る時に起こりがちな老後の資金不足に陥るリスクも抑えられる。住宅型と介護型が併設されたホームなら安心だ。

 シニアホーム選びで最も避けたいのは、在宅介護が限界に達してから慌てて探し始めることだ。体力や認知機能にまだ余裕のある60代から70代前半のうちに、情報収集や見学を始めておくのが望ましいと畠中氏は話す。「見学会では送迎車で施設に直行することが多いと思います。できれば、一度は最寄り駅から現地まで実際に歩いてみることをお勧めします。急な坂道はないか、歩道は整備されているかなど、実際に暮らすことをイメージしながら周辺環境を確認することが大切です」。

 また、地方の施設にも目を向ければ、選択肢はさらに広がる。都市部より費用を抑えながら、質の高いサービスを受けられるケースも少なくない。畠中氏自身も、認知症になった場合に入居すると決めている施設が地方にあるという。

 「自分の年金で入居できる終の棲家をあらかじめ決めておくと、老後資金のゴールが見えてきます。そうすると、お金を安心して使えるようになります」。住み替えは、介護への備えであると同時に、老後資金の見通しを立てることにもつながる。将来の住まいを早めに考えておくことが、安心して人生を楽しむための第一歩といえそうだ。