「裏の動き」には警戒が必要

「ラピッドレスポンス」の考え方は、トランプ政権がやっているような、民主・共和両党の歴代の米政権が大統領選挙などで連綿と行い発展させてきた「PR情報戦」の手法に源流を持つ流れと、イギリスの例のような「偽情報への対抗」を錦の御旗に言論活動を監視し圧力をかけるインテリジェンス的な思想の両面がある。トランプ政権の「罵倒攻撃」が良いとは思わないが、表でやるだけましで、情報機関などが行う非民主主義的な「裏の動き」につながらないようにしなければならない。佐伯内閣広報官がやろうとしていることは前者だと思われるが、今後も注視はすべきだろう。ごく最近、防衛省報道官もXでの発信を始めたが、こうした警戒はさらに必要不可欠だ。

G7での高市早苗首相の写真を内閣広報官アカウントが投稿すると炎上騒動に(内閣広報官アカウントより)

 今や各国の首脳や閣僚、報道官がSNSで発信することは洋の東西を問わず当然のことになっている。トランプ大統領は、再選を目指して共和党の指名を勝ち取り、米大統領選挙の激戦を勝ち抜く長い戦いの中で、情報戦にも対応するスタッフや体制を醸成してきた。これに匹敵する陣容を高市内閣が持つことは難しい。「罵倒」が手法として使えるのは、メディアや社会の分断が究極まで進み、そのことをトランプ政権が戦略に組み込んでいるアメリカだからで、日本にはそぐわない。

 だが、アメリカと比較して、高市内閣の情報戦略で本質的に欠落しているのは、高市首相自身の発信である。各所で指摘されているように、歴代内閣と比較しても記者と直接やりとりする機会は少なく、あったとしても時間や質問数が限られている。質問も答えも用意されたものが大半で、首相は原稿に視線を落として話す「会見」がほとんどだ。「絵になる露出」も少ない。特に内政の場面でそうだ。だから外交で無理な画像発信を試み、冒頭(編集部注・フランスで6月に開かれたG7サミットでの投稿)のような「炎上」を引き起こすことになる。

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※約8200字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア『文藝春秋PLUS』と『文藝春秋』2026年8月号に掲載されています(高木徹「高市官邸『SNS戦略』徹底解剖」)。

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高市官邸「SNS戦略」徹底解剖

出典元

文藝春秋

【文藝春秋 目次】高市早苗研究 裏切りと涙のサナエ劇場/米追従は自殺行為だ E・トッド/特集 70歳からが最幸

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