富山県で名を轟かしたレディースチーム「音速天女」の初代総長を務めるも、傷害で少年院へ送られた過去を持つ総長しおりさん(36)。
約2年間の収容を経て、現在はスナックを経営しながら2人の子どもを育てている。当時の行為については深く反省し、更生の道を歩んでいるという。
シングルマザーとして2人の子供の育児と仕事を両立するしおりさんだが、かつてその拳には誰もがひれ伏した時代があったのだ。
彼女が不良の道へ本格的に足を踏み入れたのは、中学卒業直後のことだった。当時流行していたSNS「mixi」を通じて知り合った先輩に呼び出され、深夜の駐車場で目にしたのは、色とりどりの特攻服と改造バイクに囲まれた異様な光景。
「メッチャかっこいい」「これこそ自分の居場所だ」。家庭にも学校にも安らぎを見出せず、深い孤独を抱えていた彼女がそう直感するのに、時間はかからなかった。当初は別のチームに所属して活動していたが、次第に「自分が先頭に立ちたい」という強い思いが芽生え、独立を決意。自らレディースチーム「音速天女」を結成し、初代総長に就任した。チームは彼女の持つ独特のカリスマ性に引かれたメンバーで瞬く間に膨れ上がり、最大で15~20人規模を誇る富山県下最大勢力へと急成長を遂げた。
怖いもの知らずが生んだ無敗伝説
彼女の無敗伝説を支えていたのは、他を寄せ付けない圧倒的なケンカの強さだった。たとえ3対3などの集団戦であっても、彼女が序盤で早々に相手をなぎ倒してしまうため、気づけば自然と1対1のタイマン勝負になっていることが多かったという。その驚異的な強さの源泉は、格闘技などの技術ではなく、ただひたすらに「怖いもの知らず」であるという精神的な部分にあったと、彼女自身は語る。
「当時はまったく(ケンカに強い)自覚はなかったです。ほんと、怖いもの知らずなだけだったと思います。やっぱり、過去に11人からのリンチを経験して、1回死んでいるようなものですから。だからもう、どんなやつでもかかってこいや、と。失うものは何もない、という気持ちでしたね」
総長としての日常は、まさに昼夜が逆転した生活だった。仲間と集まっては3日間一睡もしないで遊び明かすこともザラで、地元の祭りに特攻服で繰り出しては他のチームと睨み合い、未成年での飲酒や朝までのカラオケが繰り返された。太陽が昇っている時間は息を潜めるように身を隠し、街が闇に包まれるとバイクのけたたましいエンジン音と共に活動を開始する。しおりさんが率いた「音速天女」は、その名の通り、富山の夜を席巻し、支配する存在となっていった。
インタビュー本編では、ケンカの詳細な逸話や、総長として後輩に課していた厳格なルールについても赤裸々に語られている。
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