俳優の内野聖陽が主演を務める予定だった映画「北の流氷」(仮題)が、製作を依頼した北海道のえりも町、浦河町、様似町、広尾町と製作サイドとのトラブルにより中止になっていたことが「週刊文春」の取材で分かった。監督を務めた田中光敏氏がインタビューで明かした。

「北の流氷」の企画書(田中監督提供)

 2016年春、この4町は、映画「北の流氷」の撮影を田中氏に依頼した。後に主演は内野聖陽に決定。同作は北海道・えりも岬を舞台として、地元漁師たちが、荒廃した岬の緑と海を再生させた姿を描く作品だ。

 田中氏は故郷・浦河町の池田拓町長(当時)から製作を依頼されたものの、計画は2025年7月、突如として暗礁に乗り上げた。

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出資の形を取っていたが……

 田中氏が当時を振り返る。

「映画の製作準備委員会だった4町が、制作プロダクションとの契約締結にあたり、『幹事社』への就任を拒否。これまでは出資の形を取っていたにもかかわらず、突如、協賛として映画に関わることにしたいと主張してきたのです。その理由は、地方自治法に基づき無限責任を負うことができないというものでした」

田中監督(同氏のHPより)

 映画製作における「出資」と「協賛」は意味合いが全く異なる。出資の場合は無限責任を負うが、協賛であれば、その責任がない。無限責任とは、仮に映画の収支が赤字になった場合、その赤字分をすべて負担する法的義務のことで、「幹事社」を含む製作委員会が負うことが一般的だ。

4町の担当者は「致し方ないですね」と……

 クランクインを約1カ月後に控えた2025年7月15日。4町側から改めて「出資から協賛にまわる」と通達された田中氏。進退窮まり、4町の担当者に無念の思いをこう告げた。

「4町が協賛になるのであれば、映画製作委員会の立ち上げや幹事社の選定が不可能であると判断するしかありません。それだと製作準備委員会を解散することになりますが、大丈夫ですか」

 すると担当者は「致し方ないですね」と即答。結果、制作会社との契約ができなくなり、その翌日、4町は連名によって映画の製作中止を発表したのだった。