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元町・中華街から2時間! 副都心線でよく見る“終点”「森林公園駅」には何がある?

はたして駅前に“森林公園”はあるのか

2018/10/01

genre : ライフ, 社会,

駅前にあった看板「森林公園ここから2.9km」

 だいぶ前置きが長くなってしまったが、ようやく森林公園駅。さっそく橋上駅舎から北側に出てみると……広々とした駅前広場にはたくさんの木々が植えられていて、その名に違わぬ“森林ぶり”である。お、やっぱり森林公園駅前には森林公園があるんだな、と思う。ところが、広場の先まで少し歩みを進めてみると、「森林公園緑道 ここから2.9km」という看板とそれこそ森のように木々の茂った散歩道が出迎える。そう、森林公園駅とは実のところ名ばかりで、由来となった「国営武蔵丘陵森林公園」は看板通り3km近く離れているのだ。ハイキング気分ならともかく、とても駅から歩いてゆくような場所ではない。きっと、この駅ができた当時には本当に駅の周りに何もなく、だからこそだいぶ離れた公園の名前を駅名に頂いたのだろう。

ようやく森林公園駅に着く。埼玉県のほぼ中央に位置する比企郡にある
森林公園駅の北口。広々としている駅前
意外にも(?)「森林公園」まではこの緑道を3km弱進まなければならない……

池袋まで1時間、住むには悪くないのかも

 では公園が遠いならば他に何があるのか。公園に近い北側には他にいくつかの住宅と駐車場。南側に出ると、こちらも駅前広場には木々が植わって「森林公園駅らしさ」を醸し出す。こちらは北側と比べると幾分栄えているようで、少し歩けば新興住宅地もあるしコンビニもある。池袋行快速急行に乗れば約1時間で池袋まで着く上に、早朝の通勤時間帯でも始発列車なら確実に座れる。きっと物件も安いだろうし、もしかしたら住むには悪くないのかもしれない。

こちらが森林公園駅の南側である。北口よりも人を見かける

 と、そんなこんなで森林公園駅、「周りには新興住宅地と遠く離れた森林公園への遊歩道がある駅」という結論である。駅周辺を散策しているときに出会った人は、ナゾのビラを配るお年寄りの集団と葬儀会社のバスで駅にやってきた集団、そしてコンビニで働く外国人留学生だけだった。つまるところ、わざわざ訪れるべき何かは、残念ながら特にないのである。

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終着駅と言えば……やっぱりあった車両基地

 鉄道ということで言えば、この森林公園駅の少し西側に東武東上線の車両基地「森林公園検修区」がある。もともと東上線の車庫は川越付近にあったのだが、おそらく開発によって手狭になったのだろう、1971年に現在地に移転してきたものだ。そしてこの車庫移転と同時に森林公園駅も開業した。結果、Fライナーのみならず池袋発着の東武東上線列車の多くが森林公園駅を終着とするようになったのだ。このあたりは小金井籠原国府津などの他の絶望の終着駅と似たようなエピソード。終着駅の共通要素といえばいいのかもしれない。

駅の西側にある東武東上線の車両基地「森林公園検修区」

 最後に、もちろん森林公園駅の近くにはホテルなどの宿泊施設やネットカフェなどはなかった。だから最終電車で寝過ごしてしまえばもうどうにもならない(森林公園への最終は0時16分和光市発の準急で1時6分着。戻ることも進むこともできない)。なので、どうしようもなく眠い場合でもなんとか川越で目を覚ますことをおすすめしておきたい。

写真=鼠入昌史

帰りはやはり「元町・中華街行き」で
 
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