虐待と非行を乗り越え、愛する恋人とともに穏やかな生活を手に入れた22歳の青年が、ある女性の存在によって人生を狂わされていく。平成24年に愛知県で起きた事件の顛末だ。なおプライバシー保護のため、登場人物はすべて仮名である。

加害者と被害者の「特殊な関係」

 暴力的な父親とネグレクトの母親のもとで育ち、少年院を経て更生した里中健志(当時22)は、恋人・宮田由貴さん(同24)の実家で新たな家族の温もりを知った。

写真はイメージ ©getty

 しかし、由貴さんの学生時代の先輩・A子さん(同25)が「DVがひどい男から逃げたい」と転がり込んできたことで、平穏な日常は崩れ始める。

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 A子さんは体重100キロを超える巨漢の金髪女性で、両親の離婚をきっかけにグレ始め、高校は1カ月で退学。ガソリンスタンドなどで働き、18歳でナンパされた男と同棲し、やがて男の子どもを身ごもってシングルマザーになっていた。

 A子さんは家賃・食費を払ったのは最初の2〜3カ月だけで、その後は由貴さんから40万円、里中から30万円を借り、さらにサラ金から計200万円の借金があることが発覚した。問い詰められると「死んでお詫びする」と言いながら自傷行為を繰り返し、周囲が「もういい」と制止するまでやめなかった。

殺人の日

 やがてA子さんは借金返済のため、出会い系サイトを使った援助交際を開始。体重3桁の“ミケポチャ”体型を自称し、大きな胸を売りにするプロフィールで客を集める一方、由貴さんに送迎まで手伝わせながら、稼いだ金は借金の返済ではなく新しい恋人に貢いでいたことが発覚した。

「お前、いい加減にしろ。最初から金を返すつもりがなかったのか」と激怒した里中だったが、事態はさらに悪化していく。

 ある日、1階から「ドスン」という音が響き、A子さんが床に倒れているのを由貴さんが発見する。里中は「急に倒れたんだ」と言い、人工呼吸しようとする由貴さんを「もう無駄だからやめろ」と制止した。

 その後、里中はA子さんの遺体を床下に埋め、コンクリートで固めた。事件が発覚したのは10日後、帰宅した由貴さんの母親が異臭に気づいたことがきっかけだった。

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