3/3ページ目
この記事を1ページ目から読む
【大学編】日本が培ってきた知の基盤を次世代へ
日本の大学経営が危機に直面している。未来を支える知の拠点を支えていくにあたって、遺贈寄付の意義を考える。
少子化や物価上昇を背景に、大学の経営危機は構造的な問題になっている。私立大学では半数を超える法人が赤字に沈んだ。こうした事態に、国も手をこまねいているわけではない。大学への助成は増額されているが、近年の急激な物価上昇に追いついていないのが現状だ。このまま放置すれば、失われるのは個々の大学だけではなく、社会全体の知的な土壌だ。
自主財源としての寄付が研究や教育を支える
大学が革新的な研究を推進し、次世代を担う人材を育成していくためには、寄付による支援が重要となる。使途の決められている補助金や研究費とは異なり、寄付はすぐには成果の出ない基礎研究、新分野への挑戦、経済的に苦しい学生への支援などに活用できる。また寄付を基金として積み立てて運用すれば、長期にわたって教育や研究を支えることも可能だ。
実際に欧米では大学を寄付で支える文化が根付いている。例えば米国のハーバード大学には寄付を原資とした基金があり、2025年度の基金規模は約569億ドル(約8兆5000億円)に達した。その分厚い運用益が、高度な研究や教育の礎となっている。
近年は日本の大学でも寄付の受入体制の整備が進んでいる。大学によっては遺贈や相続財産の寄付を受ける専門窓口を置くようになっている。託された寄付は、経済的に困窮した学生への奨学金や、医療や新規技術の研究支援などに幅広く活用される。
人生の終幕にむけて、誰に何を遺すか。遺贈や寄付で知の拠点を支えるという選択は、その答えの一つとなる。