49歳で卵子提供を受け、ニューヨークで出産したこりんごさん(52)。現在はYouTubeやブログで不妊治療や高齢育児について発信している。50歳を前にして始まった彼女の子育ては、精神的、経済的な余裕から「楽しすぎる」と語る一方で、住まいの地であるニューヨークならではの厳しい現実に直面するものであった。
高齢育児のメリットとして、こりんごさんは「若い頃より精神的な余裕がめちゃくちゃあること」を挙げる。20代、30代でやりたいことをやり尽くしたため、遊びたいという欲がなく、純粋に子育てに没頭できるという。不妊治療に多額の費用を投じられたのも、長年の蓄えがあったからこそだ。しかし、その生活の背景には、日本とは全く異なる子育て環境があった。
「インフルエンザで1泊入院したら400万円の医療請求が」
ニューヨークでの子育ての息苦しさは感じない、と彼女は言う。公園に子どもを連れてくるのは親とは限らず、ベビーシッターやナニーであることが多い。高齢の人が孫のような子どもを見ていたり、肌の色の違う人が世話をしていたりと、周囲の状況は実に多様だ。そのため、自身が高齢であることを気にする人は誰もいない。この「ほっといてくれる」距離感が、ニューヨークの居心地の良さにつながっている。
だが、その自由さとは裏腹に、生活には厳しい側面がつきまとう。特に深刻なのが医療制度である。アメリカは医療保険が非常に高額で、健康保険未加入者も少なくなかった。息子が1歳のとき、インフルエンザの高熱で救急搬送された際には、衝撃的な事態が待っていた。ERに1泊入院しただけで、届いた請求額は400万円。こりんごさんは、息子の生死が危ぶまれる状況でさえ、「救急車呼んだらいくらかかるんだろう?」という考えが一瞬頭をよぎったと振り返る。最終的に保険会社との交渉で大部分はカバーされたものの、30万円を支払うことになった。
子育て世帯を悩ませる問題は医療費だけではない。保育料もその一つだ。共働きが当たり前のニューヨークではデイケアが必須だが、その費用は1ヶ月3000ドル(日本円で約50万円)にもなる。これでは給料の全てが保育料に消えてしまうため、こりんごさんは仕事復帰を断念し、自宅保育を選択したという。
しかし、こうした状況にも変化の兆しが見える。今年就任したゾーラン・マムダニ新市長が、2歳児からの保育料無償化や家賃の値上げ凍結といった政策を次々と打ち出しているのだ。こりんごさんは「マムダニ仕事早!」と、その手腕に期待を寄せている。
高齢で、かつ異国の地で子育てをする彼女の日常。その決断の裏には、どのような葛藤があったのか。本編では、卵子提供という選択を巡る社会からのバッシングや、第二子への思い、そしていつか息子に真実を告知する際の覚悟についても、詳しく語られている。
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