「その時代に帰るのはいやですか?」

 僕は現在87歳。77年前、生きて暮していた敗戦直後の日本列島は、宇宙から見たなら恐らく今の北朝鮮と同じ漆黒の闇に包まれていたにちがいない。60年前、1960年前後はどうだったか。まだまだ光量は少なかっただろう。50年前、1970年代。今程の光はなかったにちがいない。

 50年前あなたはいくつだったか。20代だったか、30代だったか。少なくともあなたはその時代を生き、その時代の光量が当り前だった筈だ。その光量の中であなたは恋をし、家庭を持ち、倖せの中で自立して行った筈だ。

 その時代に帰るのはいやですか?

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 耐えられないと思いますか?

「北の国から」に出演した役者たちと団欒。左から田中邦衛氏(故人)、岩城晃一氏、中嶋朋子氏、倉本聰氏、竹下景子氏(81年撮影) ©文藝春秋

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 カーボンニュートラルだ、グレートリセットだ。今識者たちの考える環境対策への思考の方角は、いかに新しい技術をもって新しいエネルギーを生み出すか、その方向へのみ向けられている気がしてならない。使うエネルギーを減らす方法を、誰か真剣に模索しているのだろうか。

 人類は全ての動物と同じく、元々自分の体内のエネルギーだけで生きてきた。脳が肥大化してサボルことをおぼえた。自分の体内のエネルギー消費をおさえること。その為に家畜を使い奴隷を使い、産業革命以来それが化石燃料に替った。5メートル歩けばテレビのボタンを押せるのに5メートル歩くエネルギーを節約しようとリモコンというものを発明した。そうしたサボリのことを「便利」と呼んだ。そして今筋肉を使わなくなり、それを補う為に何の生産性もなく重いものを上げたり下げたり、或いは何処にも行きつかない自転車のペダルを真剣な顔で漕いだりしている。

 人がサボルことは代替エネルギーを使うことだ。そしてその小さな代替エネルギーの蓄積が地球の環境をおかしくしている。

※この続きでは、「貧幸」の実践方法を倉本聰さんが力説しています。約1万2000字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア『文藝春秋PLUS』に掲載されています(倉本聰「老人よ、電気を消して『貧幸』に戻ろう!」)。

※「倉本聰 選・構成 『私の貧幸生活』読者投稿」もあわせてご覧ください。

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文藝春秋

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老人よ、電気を消して「貧幸」に戻ろう!
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