ファイターズが3位になってからというもの、「下剋上」という言葉が北海道にWi-Fiなみに飛び交っていました。
下剋上とは。下位のものが上位のものを実力で負かすこと、圧倒すること。こうして言葉の意味を文字にすると「なるほどな」と思うのですが、私は話す仕事もしているので、個人的に響きとしてその言葉の持つ雰囲気が穏やかではない気がして、戦いと言えどもスポーツに対して使うことに積極的になれませんでした。特にCSに関しては敢えて自分からは使わないようにしていたのです。
でもその私でもその言葉にすがりつきたい! と思う、そんな月曜日がやってきました。10月15日、CSファーストステージ・第3戦。ホークスと土日戦って1勝1敗、負ければその瞬間に今シーズンが終わってしまう。何が何でも勝たねばならぬ。私は満を持して、自宅の野球グッズの中から1枚のTシャツを取り出したのです。
大胆な「下剋上グッズ」
時は遡り、あれは2015年の今頃。あの年のパ・リーグ3位は千葉ロッテマリーンズ、2位は我らが北海道日本ハムファイターズ。CSファーストステージの舞台はもちろんファイターズの本拠地・札幌ドーム。敵地に乗りこんでくることになったマリーンズは「下剋上グッズ」なるものを製作したのです。
更に時は遡りその5年前の2010年、史上初のリーグ3位からの日本一になったマリーンズをマスコミ・野球ファンはこう表現しました。「史上最大の下剋上」と。下剋上グッズはその年にあやかろうと作られたのです。そしてファイターズファンなのに、それをまんまと買ったのがこの私。こんな大胆なものを製品化してしまうマリーンズの抜群のセンスと、それを札幌ドームのグッズ売り場に持ち込んでくる図太さと、それを受け入れてしかもワゴンで売っちゃうファイターズのしなやかさに感動し、観戦前にショップで我先にと下剋上Tシャツを購入。どうせならとタオルも一緒に購入。4800円なり。どうして買ったんだ……札幌の合戦を勝ち抜いて福岡へとっとと去っていく彼らを見ながら後悔したことは記すまでもありません。
が、取っておいてよかった! そしてよく思い出した、わたし! ご利益がありそうなものには何にだって飛びつく、飛びつかないで悔やみたくはない。私は迷うことなくそのTシャツに袖を通し、私の戦の地・HBCラジオのスタジオに向かいました。
スタジオで中継を受け、放送席とリスナーさんを繋ぐのが私の仕事。さあ、2015年のマリーンズと2018年の私、勝手にコラボです。「何着てるの??」、気づいてくれる人には説明します。気づかない人、というより見て見ぬふりをする人にはこちらから説明。うざがられようが関係ありません、だって「下剋上」なんだもの。