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日ハムファンも応援したくなる西武・秋山翔吾は本物の“ラジオ好き”だった

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/10/20
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「サッカーが始まる前に決めたい」

 下田の自主トレ中、radikoを聴きながらランニング。電波の状態が悪かったのか、「エリアフリーで文化放送が聴けない」と怒っていたとか、雨で試合が流れた日、取材のアナウンサーが翌日の試合の意気込みを聞こうとマイクを向けると「今日は《Lプロ!》ですか? それとも他球場の中継? 聴きながら帰りますね」と雨傘プログラムを気にしていたとか。

数々の「ラジオ好き」エピソードを持つ秋山翔吾 ©文藝春秋

 今シーズン、第1打席の登場曲はいつもの「人にやさしく」で、第2打席の登場時に「LAMENT~やがて喜びを~」(結城アイラ)が流れた試合がいくつかあった。元々アニメの主題歌だった曲のインストが、ライオンズナイターのオープニングで使われていたが、秋山は番組「セットアップ」で八木菜緒アナウンサー(現BS11)が生歌で披露したのを聴いて大変気に入り登場曲に採用したという。

 そんなヘビーリスナーがプロ野球の試合で打席に立つとどうなるか。昨年8月31日木曜日、Koboパーク宮城の楽天戦。秋山は通算1000安打に王手をかけていた。しかし、その日の「文化放送ライオンズナイター」は途中で打ち切りが決まっており、午後7時25分から「サッカーワールドカップ アジア最終予選 日本対オーストラリア」が組まれていた。当然、秋山はそれを知っていた。そして、1回表二死、三番秋山翔吾はライトへツーベースを放ち、通算1000安打を1134kHzの電波に乗せたのである。「サッカーが始まる前に決めたい」と試合前に言っていた通りの有言実行。ついでに第2打席、第3打席もヒットを打った。大家さんちの翔吾は実に親孝行だ。

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 文化放送はクライマックス・ファイナルをON AIRしていない。いや、できない(インターネットラジオで実況中継しているが)。いちばん悔しい思いをしているのは文化放送のスタッフで、文化放送大好きな男はそれをわかっている。だから秋山翔吾よ、ライオンズを文化放送の日本シリーズ中継に連れて行ってくれ。

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