米アーカンソー州で、集団被害を警察へ届けると告げた直後に行方が分からなくなった18歳の少女エビー・ステパッチ。警察の対応が後手に回るなか、車だけを残して失踪した彼女は、3年後に悲劇的な形で発見されることとなる――。
警察が「動物の死骸だろう」と意に介さなかった事件の発端を、鉄人社の新刊『知ったら最後、夜眠れなくなる 世界の未解決ミステリー68』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目)
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消えた少女
2015年10月24日、米アーカンソー州リトルロック市で、リトルロック・セントラル高校3年生のエビー・ステパッチ(当時18歳)が行方不明となった。当時、彼女は独立を目指して実家を離れ、祖父母や友人宅を転々としていた。
前日の23日夜、エビーは市内のハウスパーティに出席。翌24日、母親ローリーと継父マイケルのもと(実家)を訪れ、昨夜、4人の男に集団レイプされたこと、犯行が携帯電話で録画された可能性があること、この件で警察に被害届を出すつもりがあることを告げる。それが、家族の見たエビー最後の姿だった。
同日夕方以降、エビーの携帯が繋がらなくなった。後に判明した通話記録によると、彼女は24日中にリトルロック警察署へ約1分ずつの短い電話を2回かけ(なぜか警察署側に通報の記録は残っていない)、同時に自分が名指しした4人の男らに「警察に届ける」とするメールを送信していた。
25日14時ごろ、エビーは兄トレバーに「今(兄の家の)外に車を停めている」と電話をかける。が、トレバーが確認しても車は見当たらない。不思議に思い、折り返し連絡したところ、妹は「車の中にいるんだけど、場所がわからない。ヤバい状態なの…」と意味深な言葉を口にし電話を切る。
こうした状況から、家族はエビーがレイプ事件に絡んだ何らかの事情で失踪したものと判断、リトルロック署に捜索願を提出する。が、警察は単なる家出と受け流した。
2日後の10月27日、リトルロック西部のチャラモント公園の駐車場で、エビー所有の2003年型フォルクスワーゲン・パサートが警備員によって発見される。車内には携帯電話、財布、鍵(イグニッションに挿さったまま)、服、メイク道具、コンタクトレンズが残されており、バッテリーは切れ、ガソリンは空だった。
警備員は直ちにリトルロック署に通報した。が、捜査員が現場に到着したのは翌日朝で、車周辺の森や公園一帯を捜索したものの、エビーの痕跡は見つからない。
家族は警察の対応に不信感を抱き、メディアや私立探偵を巻き込んで独自の捜索を続ける。懸賞金は当初3千ドルから5万ドル(当時の日本円で約700万円)に増額し、ビラや看板で情報提供を呼びかけるとともに、エビー捜索専用のフェイスブックを立ち上げ、広く情報を募った。

