「月収50万円可能」「未経験歓迎」「自分のペースで」といった魅力的な言葉に惹かれ、個人事業主の宅配ドライバーを目指す人もいるだろう。

 しかし、華やかな求人文句の裏には、実際に現場へ出なければわからないシビアな現実も。物流ライターの二階堂運人氏の著書『宅配業界ぶっちゃけ話』(清談社Publico)より一部抜粋・再構成してお届けする。(全2回の1回目)

写真はイメージ ©getty

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「月収50万円可能。未経験歓迎。自分のペースで働けます」

 もし、仕事を探しているときにこんな求人を見つけたら、少し気にならないだろうか。

 特別な資格はいらない。普通自動車免許があれば始められる。会社に毎日出勤する必要もない。頑張った分だけ収入が増える。

「会社員より自由に働けそうだ」と思うのも無理はない。実際、軽貨物ドライバーなどの個人事業主という働き方は、会社員とは違った魅力を持っている。人間関係に縛られず、自分の力で稼ぐことができる。年齢やこれまでの経歴に関係なく、新しい仕事を始められる可能性もある。

 ところが、実際の現場に入ってみると、少し違った景色が見えてくる。

「月収」と「手取り」は同じではない

 軽貨物の現場では、朝早くから仕事が始まる。アルコールチェックなどを済ませ、午前6時頃にはセンターで荷物を積み込み、出発する。荷物は一日に180個から200個くらいを配達する。

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 荷台いっぱいに積み込まれた軽貨物車は、狭い道路を走り、限られた時間の中で一件ずつ届けていく。ほかのドライバー職に漏れず、都市部では、駐車場所を確保することも簡単ではない。数分の停車であっても周囲を気にしなければならず、駐車場所を探すために余計な時間がかかることもある。

 配達を早く終えたとしても、夜間の時間指定が残っていれば仕事は終わらない。指定された時間まで待機し、持ち戻った荷物をセンターへ返す作業まで終えると、帰宅が深夜になることもある。

 こうした働き方を考えるとき、「月にいくら稼げるか」だけを見るのは危険である。個人事業主の場合、売上がそのまま収入になるわけではない。軽貨物ドライバーとして働く場合、ガソリン代や車両のリース代、任意保険、車検、タイヤなどの消耗品費、駐車料金といった費用が発生する。さらに、国民健康保険料や国民年金などの負担についても考える必要がある。

 たとえば、月の売上が50万円だったとしても、それをそのまま「月収50万円」と考えることはできない。必要経費を差し引けば、実際に残る金額は大きく変わるからである。

 だからこそ、本当に見るべきなのは「月収」ではなく、経費を差し引いたあとにいくら残るのかということである。

次の記事に続く 「自由に働ける宅配ドライバー」と「不自由な会社員」どっちがいい?→物流ライターの回答に“ぐうの音もでない”