実際、児童への性的虐待者やレイプ犯は、これらの4つの問題が典型的に見られるという多くの研究があります。
ただここで注意すべきは、「感情や動機づけ」、「行動の選択と制御」、「知覚と記憶」の3つの機能の問題がケースによって異なり、そのため個々が性犯罪を行う理由も異なること、そして臨床的問題も多様になり、治療ニーズも個々によって異なってくることです。
以下、これらの4つについて、臨床的な問題を実際の例と関連させてみていきます。
性犯罪の動機づけになる感情
感情の問題としては、自身の感情をうまくコントロールできないことで、適切な動機づけができなくなったり、衝動的な行動を起こしてしまったりすることがあります。また、怒りや悲しみを適切に調整できずに口論へ発展したり、自分の気持ちを相手にうまく伝えられなかったりするなど、さまざまな困りごとが生じる可能性があります。
感情は動機づけと密接に関係しています。「楽しいからやりたい」「怖いから逃げたい」「好きだから話をしたい」といった感情は、強い動機づけにつながります。しかし一方で、「強い喜びを得たいから性的なことをしたい」「悲しさを解消したいから性的なことをしたい」といった衝動的な行動につながるおそれもあります。これは、性的活動が感情的な幸福感と結びつくことがあるためです。
また、怒りをうまくコントロールできない場合には、些細なことで怒りを爆発させて相手を攻撃したり、口論に発展したりすることがあります。さらに、本当は嫌だと感じていてもその気持ちを表現できず、自分の考えや感情を適切に伝えられないことで、人間関係のトラブルに巻き込まれることもあります。こうした経験がストレスとなり、それが不適切な動機づけにつながる可能性もあります。
いじめの被害者だった少年院の少年たち
感情の問題には、自身の感情をコントロールできないことだけでなく、他者の気持ちを理解することが難しい場合も含まれます。