「立とうとしたら、脚がなかった」。2023年7月、栃木県の幹線道路をバイクで走行中、逆走してきた2台の車に衝突され、右脚を切断した看護師のキャンディーさん(25)が、事故当時の状況を語った。「眠ったら楽にはなるけど、そのまま死んじゃうな」と思い、痛みの中で意識を保ち続けたという。

 キャンディーさん ©鈴木七絵/文藝春秋

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「右の大腿骨が飛び出していて、脚がないことに気づいた」

 事故は23年7月16日の午前0時過ぎ、友だちをバイクで送った帰り道に起きた。深夜で街灯もなく、向こうから光が見えたため、最初は対向車のライトだと思ったという。しかし、目の前に光があることから「え、逆走してきてる?」と気づいた。

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 カーチェイス状態の2台は並走しており、キャンディーさんは「間に逃げるしかない」と判断した。「『あ、光がある』って気づいた3秒後くらいには2台の車が目の前にきている感じだった」と振り返る。避けきれず、1台と正面衝突した。

 吹き飛ばされ、約10秒間地面を滑った。「そのときが一番怖かった」とキャンディーさんは語る。やっと止まり、後続車の邪魔にならないようバイクをどかすために立ち上がろうとしたところ、右の大腿骨が飛び出し、脚がないことに気づいたそうだ。その瞬間、急激に痛みが襲った。

緊急手術直後のキャンディーさん(本人のXより引用)

「2回目轢かれて死ぬか、太ももからの大量出血で死ぬか」

 動かずにいると車が次々に通り過ぎていく。キャンディーさんは「2回目轢かれて死ぬか、太ももからの大量出血で死ぬか」というタイムリミットを感じ始めた。約5分後、一度通り過ぎた車が戻って停車してくれた。救急車はあと8分で来ると聞き、「8分ならギリギリ持つかな」と思いながら待ったという。

 意識が遠のく感覚は、寝る寸前に似ていた。それでも「どんなに痛くても目を開けてなきゃ」と、救急車が来るまで真っ暗な空を見つめ続けた。

 走馬灯も親の顔も浮かばず、頭にあったのは「病院に休みの連絡を入れないと無断欠勤になっちゃう」という仕事のことだったという。

 キャンディーさんの壮絶な事故当日の様子や、その後の手術・入院生活は、インタビュー本編で詳しく語られている。

〈つづく〉

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