この作品で得た、演技に関する小さな“発見
釜山での撮影休日はキムが案内役を務めてくれたそう。
「世界で一番大きいショッピングモール・新世界百貨店センタムシティ店に連れて行って下さって、韓国の流行を教えてくれました。あとは釜山の郷土料理・ミルミョンやユッケを食べたり。僕は松島海上ケーブルカーが気になっていたんですけど、撮影中に乗れたのでラッキーでした」
本作の撮影中、黒川にとって演技に関する小さな“発見”があったという。
「実は僕、その役柄に入っていたとしても、撮影前に細かな動きの指示を受けると、『言われた通りにやらなきゃ』って、“黒川想矢”に戻ってしまうんですよ。それが僕にとっては違和感になっていたんです。自分に戻らずにどうやって指示を思い出すかを考え続けてきたんですけど、やっと発見できました。例えば、ちょっと頭を掻くとか腕を触るとか、癖みたいなものをつけると一瞬で切り替わることがわかったんです。ちょっとしたことですけど、この方法は自分に合っているのかも」
作品を経るたびに得られる知見を身につけ、長い階段を駆け上がる黒川。プライベートでは夏休みを全く取れなかった多忙の中にも希望がにじむ。
「『3ミリの恋』の撮影が終わってから、韓国語教室に通い始めたんです。最近はちょっとサボってますけど(笑)。日本語と英語だけじゃなくて、もう一つ言語を話せたらすごくいいなって。言葉じゃなくて、映画で通じ合う体験をしたからこそ、海外で芝居を勉強したり、作品に参加したいと思うようになったんです」
スタイリング=井田正明
ヘアメイク=金原萌香
くろかわ・そうや 2009年12月5日生まれ。埼玉県出身。23年に公開された映画『怪物』での麦野湊役が評価され、日本アカデミー賞新人俳優賞やブルーリボン賞新人賞などを獲得。24年、ドラマ『からかい上手の高木さん』でW主演。25年に『国宝』『この夏の星を見る』でTAMA映画賞最優秀新進男優賞と日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎新人賞を受賞。26年6月に『免許返納!?』が公開されている。
INTRODUCTION
ヒロインの名前である「ユンスル」は、太陽や月の光が水面に反射してきらきら輝く様子を意味する韓国語。本作は短編映画『ミヌとりえ』(22年)が高く評価された在日韓国人3世のチョン・ジニュン監督による初の長編&商業デビュー作である。作品の舞台は海を挟んで200キロメートルの距離の佐賀・唐津と韓国・釜山。主役のタツヒコには『国宝』『怪物』などで頭角を現した黒川想矢、ヒロインには韓国で2024年ナンバーワンヒット作となった『破墓/パミョ』が記憶に新しいキム・ジアンを迎えた。歴史や文化、そして国境を超えたピュアな若者たちの瑞々しいラブストーリー。
STORY
佐賀県唐津市で釣りに明け暮れる高校生・タツヒコ(黒川想矢)。夏休み目前のある日、韓国・釜山からユンスル(キム・ジアン)が留学してくる。唐津を案内する中で次第に距離を縮めていく2人だが、タツヒコの何気ない言葉がユンスルを傷つけ、その翌日ユンスルは釜山に帰ってしまう。歴史の教科書で唐津と釜山の距離を定規で測ってみるタツヒコ。それは、たったの“3ミリ”だった——。
STAFF&CAST
監督・脚本:チョン・ジニュン/出演:黒川想矢、キム・ジアン、荒木飛羽、早瀬憩、ソウジ・アライ、パク・ジファン、チャン・ヘジン、チェ・ドクムン、MEGUMI、一ノ瀬ワタル、大谷亮平/2026年/日本・韓国/104分/配給:東映、東映ビデオ/2026年11月6日より全国公開/©2026「3ミリの恋」製作委員会
蓮野じゅん=取材・文
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