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「ホークスは俺らが倒すんだから絶対負けんな」という応援感情について

文春野球コラム ペナントレース2018

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気がつくと「絶対負けんな」とムキになっている

 だけど、試合が始まると100パーの熱量でパを応援している。とても「基本的にはパ・リーグを応援したい立場」なんてタテマエで収まるもんじゃない。毎年そうなのだ。うちに勝ったくせに不甲斐ない試合をしようもんなら勘弁できない。今年は内角攻めで苦しむ柳田に「ギータやり返せ!」「絶対このまま引き下がるな」とぷんぷん怒っていた。いつもうちのピッチャーがっちんがっちん打ってるくせにどうしたよと思った。投手ではリリーフの加治屋蓮がつかまっていた。もう「しっかりしろよ、トンキンかよ」とわけわかんない八つ当たりだ。だから柳田サヨナラ弾、加治屋日本シリーズ初勝利の第5戦は「よっしゃ、来た〜」と飛び上がった。

 今シリーズ、全国区で認知された「甲斐キャノン」だって自分とこの選手じゃないのに威張ってしまう。ほらね、すんごい肩だろ? 「高谷バズーカ」のほうもハンパないんだよ。今季の盗塁阻止率、リーグのトップ2(甲斐拓也 .447、高谷裕亮 .385)だ。うちの西川遥輝は「甲斐キャノンあり」の環境で44盗塁して、盗塁王のタイトル獲ってるんだよ。どんなもんだ。まぁ、これじゃ甲斐を持ち上げてるんだか西川を持ち上げてるんだかわからないが。

 気がつくと「ホークスは俺らが倒すんだから絶対負けんな」とムキになっている。負けたら承知しねぇ。常に俺らが見上げる高い山であれ。今年はね、後半負けっぱなしだったけど、対戦成績は勝ち越してるんよね。ホークス日本一になって、俺らを「日本一に勝ち越したチーム」にしてくれ。たぶん中日もカープに対して同じことを思ってるだろうけどね。

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 ホークスが2年連続で日本シリーズ制覇ってことになると、来年厄介なのはわかっている。野球チームは強いから優勝するんだが、優勝すると強くなるのだ。まぁ、マツダに戻ってカープも巻き返すだろうが、何にしてもこの大舞台の経験は間違いなくホークスを強くする。今シーズン、あれだけケガ人が出て、やりくりを重ねてここまで来て、日本シリーズでもまたケガ人が出ている。それでも戦える、やればできると自信になってるはずだ。あぁ、何てことだ、強いホークスが自信をつけてもっと強くなってしまう。

 だからカープにやられてしまえ、と思えないのが面白いところだな。仕方ない、頑張ろう。こっちも強くなろう。強い相手をやっつけよう。パ・リーグを面白くしよう。

 ファイターズの本拠地、北海道はもうすっかり冬支度だ。これから厳寒の季節がやって来て、皆、春を待ちわびる。早くファイターズの野球が見たいよ。早く推しタオルを掲げたり、おにぎりを揺らしたりしたいよ。大好きな選手の名を呼びたいよ。

追記  第6戦の結果、福岡ソフトバンクホークスは見事、2年連続日本一を達成した。今年の立て直しは見事でした。おめでとうございます。カープは巻き返すことができなかった。この悔しさが来季への出発点ですね。素晴らしい日本シリーズでした。おつかれ様です。

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