都立高校がアンビバレントなことになっている。日比谷高校が約50年ぶりに東大合格ランキングトップ10に返り咲き、「都立復権」などと言われる一方で、2018年春の入試では多数の都立高校で定員割れが生じ、急遽第3次募集を受け付けたにもかかわらず、全日制31校433人の募集人員に対し、応募人数は26人にしかならなかった。都立高校の二極化現象である。なぜか。

「都立復権」は日比谷、国立、西など一部だけ

東大合格ランキング「トップ10」に返り咲いた日比谷高校

 1990年代は都立高校の低迷期だった。そこで石原慎太郎都知事(当時)が「都立高校復権」を掲げ、1300万人規模の人口(東北・北陸全県の人口に相当する)を誇る東京全域を1学区にまとめ、さらに一部の都立高校を「進学指導重点校」に指定し、「地元の国立総合大学である東京大学」をはじめとする難関国立大への合格者数を具体的な目標として掲げさせた。その成果が日比谷高校「トップ10」入りである。

 都は現在、大学進学実績上位7校を「進学指導重点校」に指定している。それに次ぐ7校を「進学指導特別推進校」に指定している。いわゆる「2番手校」である。さらに「3番手校」に相当する13校を「進学指導推進校」としている。しかし、2018年の東大合格者数を見る限り、日比谷高校のほかに「復権」といえそうな都立高校は、国立高校の26人および西高校の19人、戸山高校の11人くらいである。その他の進学指導重点校3校に関しては合計しても10人。「2番手校」7校を合計してもたったの5人。ごく一部のトップ校が突出した実績を出しており、2番手以降が大きく引き離されているのが実態なのだ。

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難関4国立大合格率で見てみると……

 さらに細かく見ていこう。表は東大・一橋大・東工大・京大の難関国立大学の2018年合格者数(既卒生含む)を2018年卒業生数で割った率(S率)による高校の序列だ。

 中学受験専門塾「うのき教育学院」代表の岡充彦さんがまとめたデータの抜粋だ。ただし、もともと東京の城南地区を中心として周辺の学校を調査対象としており、すべての高校を網羅しているわけではない。中学入試を行っていない私立高校は除外されている。ここでは記事の主旨に沿ってさらに学校数を絞り込んでいる。

 表内の「A率」は、早稲田・慶應・上智・東京理科・ICUの合格率。ただし私立大学の場合、1人の受験生が複数の合格を手にできるので、A率だけで単純に比較はできない。参考として見てほしい。