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最後の理由は……「バス本数」

 さて「王40」系統が高収入である最後の理由はズバリ、バス本数の多さだ。本数が多くなければ多くの人を運べないという理由もあるが、「王40」系統の場合、先述の3つの需要が組み合わさることで多くの本数が走り、それがまた沿線に住む人がバスに乗る理由になっている。

 確かな需要に基づくバス本数の多さがさらに需要を喚起するケースは他の高収入の路線にもあてはまる。例えば、収入ランキング2位、大塚と錦糸町を結ぶ「都02」系統は松坂屋がある御徒町を経由することで、御徒町へ向かう両方向からの需要や錦糸町へ向かう需要などが入り交じり、全区間通して客が20人前後乗っているという面白い路線だ。

都営バスで収入ランク・ベスト5が走っている路線

 また「都02」は元々都電の路線でもあるが、じつは収入ランキング1位「王40」系統を除く4つの上位路線も実はすべて元都電路線だ。昔からの住宅地かつ昔からのルートを踏襲しており、需要が見込めるということも都バスが収入を上げる大きなポイントになっている。

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都営バスが直面する「2つの課題」

 一方、近年は運転士不足で本数を維持するのが難しくなっている。当たり前だが、本数が多くなればなるほど経費がかさむ。都営バスの支出のうち約2/3が人件費だ。都営バスは運転士不足と赤字解消という2つの課題に直面している。

 そして高収入路線がみな「稼げている路線」かと言うとそうではない。例えば「王40」系統は収入1位だが、「最終的な利益」では10位以下になってしまっている。では、利益を上げる路線はどういう路線なのか。その話はまた次の機会にしたいと思う。