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第一志望不合格は「失敗」ではない

 桜木さんの記事の中には「受験に失敗」という表現も何気なく使われているが、何をもって「失敗」としているのだろうか。

「第一志望に合格できなければ中学受験は失敗だ」とか「偏差値60以上の学校に受からなければ中学受験をする意味がない」などと考える親はときどきいる。桜木さんもそう考えているのだとすれば、中学受験生の親には“向いていない”。

 そのような親が子どもに中学受験をさせると、合格というゴールばかりに目が向いてしまい、ありのままの子どもが見えなくなる。子どもに過度な負荷を与え、子どもを潰してしまいかねない。私に言わせれば、それこそが「中学受験の失敗」であり、第一志望に不合格になることは、失敗でも何でもない。

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親の「考え方」で子どもは傷つく

 12歳の子どもが、自分の道を切り開くために努力して、仮に100%望んだとおりにはならなかったとしても、その子なりの努力の結果を親が100%認めてやることができれば、子どもは自分の道を堂々と歩むことができる。それが、ありのままの子どもを認めるということ。そうすれば、その中学受験は大成功だ。

 合否という結果だけで受験の成功・失敗を判断してしまう「考え方」が子どもを潰すのであって、中学受験そのものが子どもを不幸にするわけではない。親がそのような「考え方」であれば、仮に中学受験を回避したとしても、高校受験や大学受験で子どもが親の望み通りの結果を出せなかったときに、結局いくつになっても子どもは傷つく。

 遅咲きの子どもであれば12歳で“勝負”するよりも15歳で“勝負”するほうが「最終的に少しでも進学実績の良い高校に行ける可能性で有利」という損得勘定もあるかもしれない。その判断を否定はしないが、だとすればその前に、進学実績の良い高校に入れたいと思うのはなぜかを、よく考えてみるべきだろう。