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「これ、やばいな」1試合5三振の屈辱
自分としてはファームで練習していた打ち方がしっくりきていたので、そういう打ち方に戻すと、「できないのならファームに落とすぞ」と言われます。せっかく1軍に上げてもらったばかりだったので、そう言われるとバッティングを変えざるを得ない。その結果、どんどん自分のバッティングを見失ってしまったのです。
この年は1軍で1試合5三振のプロ野球タイ記録を作っています。
10月18日の中日戦。中日の優勝マジックが1となって迎えた試合でした。4つ三振して、最後の5打席目は9回の2アウトからでした。僕は岩瀬仁紀さんのスライダーを空振りして5つめの三振を喫しました。その瞬間にグラウンドは優勝の胴上げが始まり大騒ぎになったので、ショックも吹き飛んだ感じでしたが、本当に焦ったのは、翌日の阪神戦の第1打席で三振したときです。
第1打席でサウスポーの岩田稔さんにやはり空振りの三振を喫します。
「これ、やばいな」
その瞬間、本当に自分が追い込まれた感じになりました。幸いにも第2打席で何とかバットにボールを当てて一塁ゴロに倒れましたが、正直言ってその瞬間はヒットを打ったときより嬉しかったです。
こんな状態になった一番の理由は、もちろん僕のバッティングの未熟さです。
この年の自分を振り返ってみると、いろんな人からいろんなアドバイスや、言葉は悪いですが強制を受けて、自分自身を見失ってしまっていました。
結局、この年はシーズンを終わったあとに、何も残っていなかったという感じでした。