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球史に残る応援歌「燃えよドラゴンズ!」復活の瞬間に密着 水木一郎&山本正之の思い

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/06/09
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 遠い夜空にこだまする 竜の叫びを耳にして
ナゴヤドームにつめかけた 僕らをジーンとしびれさす――

 ちょっと負けが込んでいる最近のドラゴンズだが、そんな中、朗報が届いた。ドラゴンズファンなら誰もが知っていると断言できる、球史に残る応援歌「燃えよドラゴンズ!」が5年ぶりに復活! その名も「燃えよドラゴンズ!2019 令和の激励」!

 作詞作曲はもちろん、「タイムボカン」シリーズなど数々の名曲を世に送り出してきた山本正之先生! 歌うのはもちろん、持ち歌1200曲を誇るアニメソングの帝王、水木一郎アニキ! 今年グラウンドで躍動している選手たちの名前を例年以上に盛り込んだ、新たな名曲が生まれる瞬間を目撃してきましたので、詳しくレポートいたします。

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「アニキが歌ってくれると特に燃える。歌詞を書いていてもアニキの声が聴こえてくる」と語る山本先生。2人揃ってゼェーット! ©大山くまお

「平田が塁に出るぞ!」「いくぞ!」

 6月6日午後3時、スタジオに水木さんが到着。準備していた山本先生と「勝野(昌慶)はいいね!」と言葉を交わしつつ、ほんの数分の打ち合わせを済ませると、すぐさまレコーディングが始まった。

「燃えよドラゴンズ!」は1番から8番まであり、2番からはスタメンが登場、4番以降は投手と控え野手が次々と登場するという構成になっている。誕生から40年以上経つが、このフォーマットは数曲の例外を除いて変わらない。

「燃えよドラゴンズ!2019 令和の激励」のスタメンは、一番平田良介、二番京田陽太、三番大島洋平、四番ダヤン・ビシエド、五番高橋周平、六番堂上直倫、七番福田永将、八番加藤匠馬、というもの。実はこのスタメンは今シーズン一度も実現していない。これは山本先生の理想のオーダーだ。

「実際のオーダーが違っているかもしれませんが、そこは開き直りました(笑)。あとは『六番堂上』ですよ! 使えば打つんです、直倫は! この前もバンデンハークから打ちましたからね!」

 ブースの外から山本先生が「平田が塁に出るぞ!」と声を上げると、マイクの前に立った水木さんが「いくぞ!」と応える。こんなやり取りだけでもワクワクする。

ドラゴンズバージョンの青いマフラー姿の水木一郎アニキ。「昇竜復活! WITH BLUE! 激励!」という雄叫びも入ってます。 ©大山くまお

 レコーディングは豪快かつ繊細。「堂上の“ド”を重くしてください」「『七番福田が場外へ』は気持ちを場外へ」という山本先生からのリクエストにその場で応えていく水木さん。数十年もコンビを組んでいるだけあって、2人の呼吸はぴったり。レコーディングはどんどん進み、なんとわずか1時間以内にすべて終了! 山本先生によると異例のスピードだったという。

 一通り録音が終わった後、水木さんから「通して全部歌いたい」と声が上がった。一気に1番から8番まで歌い上げるさまは、さながらスタジオライブのよう。そのままCDにできそうなクオリティだ。それを聴いている山本先生の目頭が熱く潤んでいる。

「まさにプロ! こんなことできるのか!? と思いましたよ」

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