若き池山の初々しいインタビュー
――身長と体重、靴のサイズを教えてください。
池山 身長は184・5センチ。体重76キロ、靴のサイズは26・5か、27です。
――血液型は何ですか?
池山 AB型です。
――出身地はどちらでしょう?
池山 兵庫県の尼崎市です。
……ゆるい、ゆるすぎるインタビューだ(笑)。(あれ? 前に聞いたときはもっと面白かった印象があったのに……)。僕は内心でとまどいを隠せない。好きな食べ物は「カレーライス」で、嫌いな食べ物は「疲れたときの骨魚」といった(どうでもいい)受け答えが延々と続く。それでも、(我慢して)聞き続けていく。
――好きなアーティストは誰ですか?
池山 アーティストっていうのは何ですか? あっ、歌手? 日本人で言えばユーミンとか、杏里さんとか、ああいう系統の音楽が好きです。
――ライバルは誰ですか?
池山 ライバルっていうか、負けたくないのはパ・リーグだと清原クンとかいますけど、やはりセ・リーグでは落合さんになるんかな?
――目標とする選手を教えてください。
池山 そうですね、西武の秋山さんみたいに、打って、走って、守ってがベストだろうと思うんですね。僕が見て、「なれないんかな」と思う選手は秋山さんですね。
落合博満をライバルだと思い、秋山幸二を目標にしていたとは知らなかった。それにしても、ゆるすぎる。結局、最後まで聞いたけど目ぼしい問答は皆無だった(笑)。ということで引退直後に発売された『池山隆寛のブンブンブン! 夢、ありがとう――プロ野球栄光と挫折の19年――』(小学館)を取り出す。こちらは、引退直後の生々しい心境が吐露されていて読み応えがある。あとがきから引用したい。
〈ぼくは引退セレモニーで「必ず皆さんの前に戻ってきます」と宣言した。その意味はもちろん、まずはコーチとなり、それを経て最終的には監督になりたい、ということだ。(中略)いつか必ずユニフォームを着て、監督として皆さんの前に戻ってきます。そのときを楽しみに待っていて下さい〉
高らかに「監督復帰宣言」をしているのである。今回の二軍監督就任は、来るべき輝かしい将来への布石なのだ。2029年に高津臣吾監督V10達成で勇退後、満を持して池山が一軍監督に就任。それが、現在の僕が描く現実的(!)な青写真だ。この本のラストは次の言葉で結ばれている。
〈誰よりも、ぼく自身がそのときがくることを一番楽しみにしている〉
おーっ、何と希望に満ちた言葉であることか。もちろん僕も楽しみにしているぞ! 高津・池山体制で臨む2020年の東京ヤクルトスワローズ。昨日の高津監督のコラムで書いたように、やはり、「希望」という言葉しか浮かばない。
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