北九州市のあるエリアに集中している、3つの“特殊な”事故物件。まずは「4人の女性が集団自殺した物件」を、次に「3人の白骨化・ミイラ化した遺体が発見された物件」を紹介しました。残すは1つ。これまでとは異質な衝撃度を持つ「自殺が連鎖したマンション」についてお話ししましょう。

※写真はイメージです ©iStock.com

(全3回の3回目/#2より続く)

競売にかけられた「焼身自殺が起きた部屋」

 このマンションも、前の2つの物件から徒歩圏内という、非常に近いエリアに建っています。その10階建てのマンションの3階で焼身自殺があったことが、そもそもの始まりでした。どうやらその地域では「昔、あの部屋で火事があった」といった程度の認識の人が多いようなのですが、実際に起きていたのは、部屋の住民が自らに火を付けて命を絶ったという、凄惨な焼身自殺だったのです。

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 この一件で事故物件になってしまったその部屋は、やがて競売にかけられることになりました。競売とは、民事執行法に基づく債権回収のための手続きのことで、事故物件ではよくある話の1つです。たとえば、まだ何十年もローンが残っている段階で住人が自殺したり、孤独死したりして、その後ローンを払う人が誰もいなくなってしまった場合、お金を貸していた銀行などの債権者が裁判所に申し立てを行い、物件の差し押さえと売却を行うのです。

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その事故物件を購入したのは……

 競売物件と事故物件は重なるところが非常に多いのですが、そこで殺人や自殺などがあったことを裁判所が把握している場合、その事実はしっかりと開示されるため、購入者は「ここは事故物件である」と理解した上で落札することになります。

 そして焼身自殺があったそのマンションの一室にも、競売の末落札者が現れました。ただ、その購入者というのが……なんと、上の階の住人だったのです。