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荒れ果ててしまった豪邸

 しかし今や、その家に楳図氏が姿を現さないばかりか、荒れ果てているという。屋根にある、あの"グワシ"のポーズの「まことちゃん像」が目印の建物は、いまどうなっているのか。

“まことちゃんハウス”の屋根に立つ「まことちゃん」像  ©文藝春秋

 確認のため取材班が現場へ向かうと、「まことちゃんハウス」は事前の情報の通り、雑草で覆われ、完成当初の面影はなかった。ライトやセキュリティ関係は作動しているようだが、玄関にアプローチする通路や階段は何年も人が通った形跡がないように見える荒れ具合だ。

木々に覆われた現在の“まことちゃんハウス” ©文藝春秋
現在の“まことちゃんハウス”  ©文藝春秋

「昨年からずっと手付かずのままで、庭は草が伸び放題。石畳や石垣は埋もれてしまっています。庭の木々は道路側まで広がり、落ち葉も歩道に落ちたまま。高齢者が多い地域なので避けて歩かなければならない状況です。もはやあの家が楳図さんの家だと気づく人は少ない。周辺はお屋敷街で庭の手入れも行き届いた家ばかりですから、別の意味で目立っています」(地域住民)

楳図氏に直接、真意を尋ねると……

 楳図さんの近況について、スポーツ紙記者が解説する。

「昨年も、漫画家としての活動が評価されて文化庁長官表彰を受けています。漫画のグッズも人気でいまでも定期的に楳図先生監修のキャラクターグッズが発売されていますが、最近はテレビでの露出は減りましたね」

 6月中旬の夕方、「まことちゃんハウス」から徒歩数分の距離にある楳図氏の自宅兼事務所マンション近くで見覚えのある赤と白のボーダー柄の服で歩くマスク姿の楳図氏を発見。話を聞いた。

楳図かずお氏  ©文藝春秋

――「まことちゃんハウス」が草木で埋もれてしまって、廃墟のようになっていますが、どうされたんですか?

「あの辺りに近づくだけで、ゾッとするんで行ってないんです。前まではお掃除しに毎日行っていたんですけど、最後にあの家に行ったのはいつだろう……去年ですね。台風でシンボルにしていたモミの木が倒れちゃったんですよ。庭師の方に引き取ってもらって、それから気分的に行かなくなりました。もう1年近く行ってないですね。前にも近所の人から『木を切っていいですか』と聞かれたので、『どうぞ、お好きなように』という感じです」

現在の“まことちゃんハウス”。門扉にも落ち葉の山が  ©文藝春秋

――「まことちゃんハウス」が完成して10年以上が経ちますが、どのくらい住まれたんですか?

「最初の頃に4、5日くらいいたかもしれませんけど、あそこに行くこと自体嫌なんです。庭の手入れは最初の頃からいろいろな庭師の方や業者にもお願いしていたのですが、いまはくたびれてしまったんです」

 近隣住人との裁判沙汰が、10年以上の時を経ても楳図氏のトラウマとなっているようだ。