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誰にも気づかれずに白骨化した理由

 ある日、近くの居酒屋で飲んだ帰りだったのか――ひどく酔っ払ったスーツ姿の男性が、その屋敷の前を通りかかります。何を思ったのか、彼は屋敷の塀をよじ登り……そして庭へと落下。受け身をとることもできず地面に激突し、その衝撃で命を落とします。

 やがて、時間とともに男性の遺体は腐敗し、かなりの臭いを放ちます。通常、例えばマンションの一室で孤独死した人がいれば、この段階で近所の誰かが臭いに気付き、遺体が発見されます。しかし、大きな庭の、誰も近づくことがない片隅で死んでしまったために、その男性は誰にも気づかれることなく、やがて白骨化してしまいます。

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 骨になれば臭いも弱まるので、遺体はより発見されにくくなります。こうして、ついに身元がわからなくなるほど変わり果てた男性は、庭木の剪定に訪れた業者によって、ようやく発見されたのです。

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ある自衛官の不可解な死

 白骨化するまで死体が見つからなかった、というのは非常に珍しいケースですが、大きな家に見知らぬ人が忍び込み、なにかの拍子に亡くなってしまうという事例は、実は時々起きています。

 これは東京の例ですが、今から十数年前、中目黒にある民家の敷地内で、自衛官の男性が頭から血を流して亡くなっているのが見つかりました。しかし、その家に住んでいた家族は誰も、亡くなった男性とは面識がありませんでした。

 自衛官が不可解な亡くなり方をした、ということもあり、当時ネット上では様々な陰謀論も囁かれました。しかし、その後の報道によると、どうやら原因はお酒のようです。

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 その男性は前夜、近くの駅前で飲み会をしていました。そして、かなり酔っ払った状態で、中目黒にあるホテルへ歩いて帰っていったそうです。その道中に、翌朝遺体が発見される民家がありました。ホテルに到着したと勘違いしたのか、体調が悪くなって一休みしようと思ったのか、あるいはふらついて入り込んでしまったのか……。今となっては理由はわかりませんが、その男性はホテルではなく、民家の敷地に侵入してしまいました。