アメリカから頼もしき男が帰ってきた。昨年までの2年間は名門ボストン・レッドソックスに在籍した澤村拓一投手が今年1月、マリーンズに入団をした。大リーグ2年間で104試合に登板をして6勝2敗、防御率3.39。そんな異国での活躍を支え続けた若者がいた。

「本当にボクは通訳に恵まれました。彼には本当に感謝をしていますよ」と澤村。メジャーでの2年間を共に過ごした友の話をしてくれた。

澤村拓一 ©時事通信社

休みの日も一緒だった8歳年下の通訳

 通訳の山口雄太郎と出会ったのは渡米してキャンプ地入りのため降り立ったフロリダの空港。第一印象は「真面目そうだなあ」だった。8歳年下で、中学校を卒業後に渡米。アメリカの高校、大学を卒業後、社会人として最初に携わった仕事がボストン・レッドソックスに入団した澤村の通訳だった。

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「アメリカにおいて本当に通訳の大事さを痛感させられた。彼はボクのために本当に献身的に対応してくれた。自分が野球のやりやすい環境を整えてくれた。感謝しかないです」と話す。

 日本では当たり前のように首脳陣やキャッチャー、チームメートとコミュニケーションをとることが出来るが、アメリカではそうはいかなかった。意外と難しいと感じたのが微妙なニュアンスを伝えることだった。日本語にはある言葉の機微、表現だ。

「日本って結構、ことわざとかで相手に伝えたりすることがあるじゃないですか。そういう日本だけのことわざとかを伝えるのに苦労をしていたと思うけど、それを見事なまでに、うまく訳してくれた。通訳の訳し方一つで相手への伝わり方、関係性はだいぶ変わる。そこは本当に丁寧に、しっかりと訳をしてくれたことに感謝しかないし、自分は本当にいい出会いに恵まれたと思った」と澤村は話す。

 通訳としてだけではなく、身の回りのサポートも精力的にこなしてくれた。ベンチ、ブルペン、マウンド、グラウンドだけではなく朝食から夕食まで共にする日々。休みの日も一緒だった。特に澤村が感謝をするのは異国でストレスを減らしてくれた配慮だった。

「いつも先を考えて行動をしてくれた。言う前にやってくれている。アメリカは日本では当たり前と思っていることが当たり前ではなかったりする。常識が常識ではなかったり。そういう環境面で色々なストレスが当たり前に起こる環境にあっても彼がいたことで、軽減してもらえたと思う」