文春オンライン
文春野球コラム

「期待しかしてないぞ」楽天優勝のカギを握る黒川史陽21歳、父親からの熱いメッセージ

文春野球コラム ペナントレース2023

 さぁ2023年のプロ野球が開幕であります!

 我が東北楽天ゴールデンイーグルス、昨シーズンは4位でフィニッシュでございました。5月に入って一時貯金18と前半戦は圧倒的強さをみせるも、11連勝直後の11試合で2勝9敗と連勝の後の連敗は予想以上にこたえた。ブセニッツの離脱や5月18日には涌井秀章が右手中指骨折で長期離脱、この辺りから雲行きは怪しくなり徐々にガタガタと……さらには5月13日からシーズン通して金曜日に一度も勝てない19連敗という謎の金曜日イップスを克服できないままシーズンを終えた。

黒川史陽に開幕スタメンを是非勝ちとってほしい

 強いチームとは? 2年連続で日本シリーズを戦ったセ・パの上位チーム、ヤクルト、オリックスはみるとわかりやすい。チームを引っ張る若い先発投手の成長、そしてなにより若手野手が台頭、ベテランとのバランスがいいように思う。

ADVERTISEMENT

 ヤクルトは村上宗隆(23)がチームの軸となり、ショートには高卒3年目の長岡秀樹(21)が139試合出場の大活躍。そしてセカンドにはベテラン山田哲人がいる。オリックスも紅林弘太郎(21)がショートのレギュラーを張り、さらにはルーキー野口智哉(23)も存在感がある。日本シリーズで初回初球先頭打者弾の太田椋(22)が狙うセカンドのレギュラーもベテラン安達了一や大城滉二、西野真弘が黙っていない。

 その点で言えば楽天は、まだ浅村栄斗や茂木栄五郎、鈴木大地、銀次のベテランを押しのける選手は出てきていない。しかし、それを匂わせる選手がいない訳ではない。今年こそレギュラーをとってほしい選手がいる。長岡秀樹や紅林弘太郎と同期で同い年の黒川史陽(21)である。

黒川史陽 ©時事通信社

 浅村もその存在を認め、その愛くるしい性格からもチームの先輩達からも可愛がられている黒川。昨シーズンはファームでじっくり経験を積みファーム日本一の立役者になった。しかし今年こそは一軍でレギュラーを取るため、何かを変えるため、オフには初めて中村晃(ソフトバンク)の元で自主トレに励んだ。

 黒川自身、野球の技術の部分もさることながら、それ以上に何事にも手を抜かない姿を見て活躍するためには、やらないといけない事がまだまだあると感じたようだ。トレーニングや食事を見直し、睡眠計測器で睡眠の質を改善。現在はプレー以外の部分が野球に繋がっている、という事を意識し日々過ごしているという。

 その結果、オープン戦ここまで17試合34打数11安打、3割2分4厘と数字を残せている。自分が強く振れるタイミングで打ちにいけているのが好調の要因だと本人は言う。中日から新加入の阿部寿樹や伊藤裕季也、新外国人のフランコなど新たなライバルは多いが開幕スタメンを是非勝ちとってほしい(注:本記事配信日夜にはその結果がでているはずだ)。

 そして黒川は、父の挑戦にも思うところはきっとあるはずだ。

文春野球学校開講!