今のライオンズを見るのは……
豊田投手が入団したのは93年。たびたび食事に来てくれることから、山崎さんもお店が休みの日などに西武第二球場(現CAR3219フィールド)での2軍戦へ応援に行くようになった。
豊田投手のプロ初勝利は96年7月14日、札幌・円山球場でのダイエー戦だった。「お祝いを言わなきゃって思ってたらね、翌日わざわざ初勝利の報告にうちに寄ってくれたんですよ」。本拠地でヒーローインタビューを受けた日には、帰り道に「これ、息子さんに」と球団マスコット「レオ」のぬいぐるみを持ってきてくれる優しい右腕だった。
豊田さんから始まった縁は、ほかの選手たちにも広がった。石井貴さんや松坂大輔さん、中村剛也選手や炭谷銀仁朗選手……。選手も訪れるお店として、ファンの間にも人気が浸透していった。
山崎さんは西鉄時代からのライオンズファンだ。80~90年代の「黄金時代」を知るだけに、今、なかなか勝てないライオンズを見るのは「寂しいっすよ。森祇晶監督のときは、日本シリーズにいって当たり前っていう感じだったから……」。
Bクラスに沈む年は、8月ごろから「今年は誰々が戦力外になるかも」といった話題が店内でも出るのだとか。そういった話はやはり、聞きたくないものだ。苦しい状況が続く今季だが、巻き返しへの期待を込めて、山崎さんは今日も中華鍋を振っている。
無数のメニューができるまで
最後に、山崎さんと私の「おすすめメニューベスト3」を紹介し、コラムを締めたい。なお、代替わりするまでのメニューはカレー、カツ丼、ラーメンなど20種類足らずだったそうだ。お客さんの要望などを聞いて増やしていくうちに、今では無数のメニューが店内の黒板に書かれている。
【山崎さん】
1位 長崎ちゃんぽん 山崎さんに代替わりしてからできたメニュー。「子どものころにおふくろが作ってくれたちゃんぽんの味が舌に残っていてね。隠し味はウスターソースなんだよ。これを入れないと、おれのちゃんぽんじゃない」
2位 スタミナ焼肉定食
3位 イカフライ定食(筆者とともに、「イカ定」を推すあさりどの堀口文宏さんの顔を立てての3位とのこと)
【筆者】
1位 スタミナ焼肉定食(最初は長崎ちゃんぽんかこれを食べるべきです)
2位 イカフライ定食(言わずもがな)
3位 オムライス(これも激うま)
※なお、ここ最近のイカ不漁で、仕入れが困難になっているとのこと。イカフライ定食は提供できない日もあるとのことですので、ご了承ください。
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