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中島選手に次の名内野手を同じ選手同士という立場で育ててほしい

 さて、チームのエラー問題。今季のファイターズのエラーは94個、もちろん12球団最多。唯一の90台。

 今年から本拠地となったエスコンフィールド北海道の売りのひとつ、天然芝。試合以外の時間で開閉式の屋根を開き、屋根が閉じていても大きなガラス窓からの日光を浴び、厳しい冬にも適切な温度を保てる工夫で大切に養生する。試合観戦に行くと空気の動きで芝の香りがたっぷりすることがあってとても気分がいい。天然芝は選手の体に優しく、選手寿命にも大きな影響があるそうだ。

 ただ、守備面では難しさが出る。打球の勢いがなくなったり、バウンドした後の弾みが不規則だったり、人工芝より圧倒的に天然芝は守りづらさがある。でも、本拠地が天然芝のチームは他にもある、いつまでも言い訳は出来ない。

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 ファイターズはこの秋、全員参加の秋季キャンプが組まれた。新庄監督の強い希望で、主力選手はエスコンで徹底的に守備練習をすることになった。若手中心のいつものキャンプは沖縄の国頭村で行われる。中島選手の名前はもちろん主力が集まるエスコンにある。

 来季16年目を迎える中島選手は、伏見寅威選手と共に野手最年長となった。チームとしては、コーチに近い、背中を見せる役割も期待されているかもしれない。でも私たちが求めてるのはまだまだその姿じゃない。

 若い選手を多く起用するファイターズだけれど、私は守備に関しては、特に二遊間に関しては、ベテランが若手を引っ張り、若手はベテランから学ぶ姿が好ましいと思っている。幸雄さんとマックさん、マックさんと賢介さん、賢介さんと中島選手、そして中島選手に次の名内野手を同じ選手同士という立場で育ててほしいのだ。

 谷元圭介投手と大野奨太選手がドラゴンズで引退して、2008年のドラフト選手は中島選手しかいなくなった。だけど、中島選手にはまだまだ「引退」に向かうシーズンを過ごしてほしくない。2年連続の全試合出場を、盗塁王を、ベストナインを、あの時は輝いていたよね、なんて話したくない。これ以上のエピソードを私たちにまだまだ届けてほしい。安心安全な中島選手のプレーを私たちはまだまだまだまだ求めている。

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