現在も幅広く活躍する4兄弟
長男から三男は大分の明豊で、それぞれ控え野手、レギュラー、補助員(ボールボーイ)として、四男は沖縄尚学のレギュラーとして甲子園の土を踏んだ。レギュラーであっても団体競技の中で個人の力だけではどうにも甲子園に届かないことはある。また、レギュラーでないのなら能力以外の部分でも監督やチームメートから認められなければならない。
この事実を見れば「そうした運や信頼を引き寄せたのは、黄金の5ヶ条を愚直に実践し続けたから」と言っても過言ではない。また、甲子園の土を踏んだ後も彼らは野球界で、社会で活躍を遂げている。
次男の哲平は、駒澤大で高い守備力とここ一番の三盗など高い走塁技術で同期の江越大賀(阪神)や1学年下の今永昇太らとともに日本一に。現在は社会人野球のセガサミーでプレーし、4年連続で都市対抗出場を果たしている(2年目はNTT東日本の補強選手として出場)。四男の修は駒澤大のレギュラーとして東都大学野球1部リーグで優勝争いをし、来春からは不動産会社で働く。また、長男は福岡工業大で主務を務めた後、現在は福岡の町役場に勤務。三男も福岡工業大卒業後に大手企業の系列会社で会社員として勤務している。
「長男が最初に甲子園に出た時です。試合前のノックでグラウンドに駆けて行く時、甲子園の土に綺麗な足跡がついていくのを見てもう感動しましたよ。それを4回も味わえるなんてね」
そう感慨深く振り返る。現在は、「黄金の5ケ条」をもとに、手留照(てるてる)の名前で講演活動を行い、依頼があれば全国各地へ足を運ぶ。2月の取材翌日には地元の高校で、これから社会や大学へ羽ばたく3年生の生徒たちに、夢の大切さを語り、その肩肘張らない話ぶりやエピソードで時には笑いが起こり、最後はどの生徒からも真剣な眼差しを向けられていた。
「この“夢を叶える黄金の5ケ条”は誰にでもできることなんです。これをやり続けたら4兄弟は本当にみんな夢を叶えました。だからこそ、僕の話を聞いた人たちが“よし、俺も。私も”って感じてもらいやすいと思うんです。こうした凡事徹底をできる人たちを日本中で増やしたいんです」
夢を正夢にする奇跡へのきっかけは日々の中にあふれている。それを誰よりも実感した父だからこそ、その言葉には強い説得力と深い愛情が詰まっていた。
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