昨年7月まで小誌で連載していた「バブル兄弟」。筆者の西﨑氏は以降も“五輪を喰った兄”の法廷を全て傍聴し、本人への取材を続けてきた。“長銀を潰した弟”は亡くなるまで無罪を訴えていたが、兄と検察のバトルも ——。
▶︎弟の死から20年、兄の五輪裁判に異変
▶︎治之が嘯く「電通歴代社長は実行力ゼロ」
パリ五輪の余韻が残る昨年8月23日。東京五輪の組織委員会元理事で、電通の元専務、高橋治之(80)は紺色のスーツ姿で東京地裁の法廷にいた。前回の公判からは50日超が過ぎていたが、久し振りに公の場に現われた治之は、すこぶる元気そうだった。
治之は東京に五輪を招致した立役者でありながら、2022年8月に東京地検特捜部に受託収賄容疑で逮捕された。検察側は、治之を「スポーツマーケティングの第一人者」と呼び、彼がスポンサー企業の選定や公式商品のライセンス契約などについて“働き掛け”をした見返りに総額で約2億円の賄賂を受け取ったと指摘。紳士服大手のAOKIホールディングスなど5つのルートで捜査を進め、計15人を立件した。
権力の絶頂から滑り落ちた治之には、バブルの時代に“環太平洋のリゾート王”と呼ばれた1歳違いの弟がいた。日本長期信用銀行(長銀)などからの融資を受けて、国内外のホテルやゴルフ場を買い漁り、1兆円規模の「イ、アイ、イ」グループを作り上げた高橋治則である。
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2025年1月16日号