開示文書に付された1番から382番までの通し番号。だが、そこには74の欠落があった。一体、いつ、なぜ文書は抜き取られたのか。財務省が初めてその理由と詳細を明らかにした。彼らが隠し通したかったものとは――。

 国会には黙っていた。検察の捜査でも出さなかった。誰にも明らかにせず“秘密”にしてきたのに、文書が抜き取られていることに遺族が気付いてしまった。「第二の改ざん」ではないかと追及されては、もはややむを得ない。

 財務省としてはそんな心境だろう。追い込まれてようやく出してきたのが、森友学園との土地取引に関する382通の文書のリストだ。そこには、これまで存在すら明らかにされてこなかった“門外不出”の文書52通の概要が含まれていた。これではっきりした。財務省が森友事件で一番隠し通したかったのは“総理夫人”=すなわち安倍昭恵氏に関する文書だったのだ(肩書はすべて当時)。

   ◇

 事の始まりは4月4日の関連文書の開示だ。森友事件で命を絶った財務省近畿財務局の赤木俊夫さんの妻、雅子さんが、真実を知りたいと求めてきた。裁判で勝ち、石破茂首相が上告断念を決断して、ついに情報が開示されることになった。その第1弾として、森友学園との土地取引に関する2255枚の文書が開示された。

2000ページを超える開示文書

 文書には右上に手書きで番号が記されている。ほぼ時系列に沿った「通し番号」だ。ところが番号には数多くの欠落があった。通し番号を記した後に意図的に文書を抜き取ったのだとしか考えられない。これは「第二の改ざん」ではないか。誰がいつどのような目的で抜き取ったのか? 雅子さんの弁護団は4月14日、財務省の見解を質した。

 これに対し財務省は5月9日、文書で回答。森友学園との土地取引に関する経緯を記録した一覧表を初めて公開した。「経緯の記録」と題され、4月の開示文書と同じ通し番号が記されている。4月の文書で欠落していた番号もすべて含まれ、内容の概略も記されている。財務省がどんな文書を抜き取ったのか、隠ぺい工作の一端が初めて明らかにされたのである。

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