第2次長嶋政権時に起きた「監督解任騒動」。長嶋続投を願うファンを他所に、裏では、渡邉恒雄オーナーの長く秘められた策略と、後任候補のV9戦士が見せたメディア戦略が張り巡らされていた。いまだから明かせる秘話。
1993年に巨人の監督に復帰した長嶋茂雄は、その後在任9シーズンで3度のリーグ優勝と2度の日本一に輝いた。だがそんな栄光の陰で、ユニフォームを脱ぐ寸前まで追い込まれた大ピンチがあった。98年に起こった“解任騒動”である。巨人軍オーナーで読売新聞社代表取締役社長(当時)の渡邉恒雄が、長嶋監督を実質的に解任、元西武監督の森祇晶の監督招聘を決断。世間を巻き込む大騒動となった――。その波乱の裏側を、当時の取材を元に再現する。
◇
98年の巨人は開幕から5連勝と好スタートを切ったが、4月後半には失速。7月末には首位横浜に10ゲーム近くの差をつけられて優勝は絶望的となっていた。
8月のある日、報知新聞の遊軍記者だった私は、ある読売幹部から衝撃的な話を聞かされた。
「実は今年でミスターは終わりだ。長嶋さんには監督を辞めてもらう。後任の監督は森で話が進んでいる」

思わず「そんなことしたら大変なことになりませんか?」と言うと、読売幹部はこう首を振ったのである。
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source : 週刊文春 2025年6月19日号






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