「この企画、ヤバいよ」

 前回、“ターゲット”になったかまいたち・山内はそう言った。それは2度目の放送となる『かまいガチ』の「あの頃のラブレター歌謡祭」。そのタイトル通り、“あの頃”、つまり学生時代等に実際に本人が書いたラブレターを勝手に曲に仕上げて聴いて当時を振り返ってみようという企画である。今回ターゲットになったのは、コットン・きょん、紅しょうが・稲田、エルフ・はるの3人。司会には、かまいたち・濱家と並び、前回は番宣ゲストとして参加していた畑芽育が、番宣一切なしで「人生初」の司会を務めた。恥ずかしい部分をピンポイントに突いてくるような彼女のツッコミがとても効いていた。

かまいたちの山内(左)と濱家(右) ©文藝春秋

 この企画が秀逸なのは、そのラブレターの文面に合わせて、それっぽい曲のパロディになっていることだ。ちゃんとその楽曲のクオリティが高いのも可笑しみに拍車をかけている。たとえば、きょんが高校時代に仲の良い男女でやっていた交換ノートの最後のページに誰にも見られないと思って書いた「しつこいけど最後に…」は、B'z風のラブソングになっている。しかも、文面を元に歌詞風にアレンジしているわけではなく、省略や改変をすることなくそのままほぼすべて歌っているのも見事。ラブレターや日記だから文章がおかしな点や意味がわからない部分もあるが、それゆえ生々しい。本人も恥ずかしさが増す。歌詞のテロップに、実際に当時書かれた本人の直筆を使っているのもこだわりを感じる。

 曲が披露されるまでは、あくまでも友達として好きだった程度だと言っていたきょんだが「俺らは友達すぎたんだな」「しつこいけど最後に ごめん大好きでした」などと綴られた歌を聴き、改めて「めっちゃ好きだったんだ……」と気持ちに蓋をしていた自分の思いに気づくのがエモーショナルだった。

 高校時代に同級生への恋心を綴ったブログを曲にされたのは稲田。「女の意地やと思うんで」と演歌っぽいタイトルだが、曲調はAKB48風。しかも、本家AKBのメンバーが歌うという謎の豪華さ。秋元康や振付のパパイヤ鈴木にも許可を得て、ダンスもそれっぽい。「とだけ言っときマス***」「諦めるのも女の意地やと思うんで よろてぃくぅっ」「何でぅちぢゃぁァヵンの?」といった半角や記号、小文字の使い方が、まさに“あの頃”。「ちょっと待って、吐きそう」と本人も悶絶してしまう。しかし、一方で「AKBの方が歌ってくれたのでちょっとスッキリしました。これくらい明るくやってくれたら、いい恋愛してたんだなって」と過去の苦い失恋の思い出が浄化されたそう。

 青春時代のイタさ、甘酸っぱさ、純真さが、面白に昇華されるヤバい企画だ。

『かまいガチ』
テレビ朝日 水 23:15~
https://www.tv-asahi.co.jp/kamaigachi/

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source : 週刊文春 2025年9月25日号