三度も四度も繰り返して観た回もある。決して朝ドラ好きでないのに、『あんぱん』は春から今週まで見飽きることがなかった。
肝が据わってるんだ、中園ミホさんは。敗戦で目が覚めて、これからは平和の時代だと浮かれた人々のインチキを暴いていく。
出征と悲劇。日中戦争下の、彼の地における殺戮と空腹を描き、前者では河合優実と石工職人、豪ちゃんの告白と戦死公報で多くの視聴者を号泣させた。
戦闘よりも辛く死に至る空腹を描いた、中国人宅に侵入し、殻つきの卵をむさぼり喰らうシーンは、やれコメの価格が上がったと不満を口にする、令和の庶民に衝撃を与えただろう。
やなせたかしさんがモデルの嵩(たかし・北村匠海)は、敗戦を契機に、一夜にして正義と悪が引っくり返った日本に馴染めず、ブレない正義と平和を目指す。
やなせさんが神と崇めた手塚治虫さんとの縁を少々記しておく。
私は七〇年代半ばから俗悪不良誌に身を置き、やがて全国の夜に浮かぶ自販機ポルノの編集長に。
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source : 週刊文春 2025年10月2日号






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