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 遊園地の片隅がいつも、ノスタルジックなのは何故(なぜ)だろう。家族と、友だちと日本や世界の色んな遊園地で遊んできたけど、一通り歩き回り、乗りたい遊具に乗り、昼にレストランで食事した後、彼がお手洗いから帰ってくるのを待っている。私はベンチに移動してアイスを食べている。そんなとき。

 見るともなく見ている、自動販売機の列と、地面に落ちている、食べ終わったあとの焼きそばのプラスチック容器。少し離れたステージではついさっきまで(もよお)しものをやっていて、動物の着ぐるみを着た人が客席に出てきて、手を振りながら帰っていくのを、3人ぐらいの小さな子どもが近寄って眺めている。

 遊園地にやってきた朝方は、ドキドキワクワクして、どのアトラクションにまず乗るかで、彼と意見が分かれ、(あや)うくケンカになっちゃいそうなほど興奮していた。アトラクションに辿(たど)り着くまでの時間も、次へ移動する時間も惜しくて、広い園内を走って回りたい衝動に()られる。

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source : 週刊文春 2025年11月13日号