以下の文章は二年前、とある飲み会で、参加者の一人である中年男性から聞いた話を書き起こしたものだ。書き起こすにあたって文章としてストレスなく読める程度に整理してある。編集部からは「ミステリを書け」と依頼されているが、ミステリ的な構造を持った話なので、この機会に発表することにした。勿論、男性からは事前に許可を取っているし、発表前に一度、文章のチェックをしてもらっている。
※ ※
大学で出会って二十数年、ずっと付き合いのある友人がいます。名前は仮にマサとしておきましょう。
最初は友達の友達で、二人の時はあまり会話もなく、「気まずいなあ」みたいな関係だったんですが、雑談がきっかけで意気投合したんです。どんな話題で距離が縮まったのか、僕もマサも今となっては全く思い出せませんけどね。
社会人になっても交流は続きました。たまに会って飲む。この年になるとそれだけの関係が、むしろかけがえのないものだと分かります。僕は努力らしい努力は何もしていません。僕のような駄目人間とも分け隔て無く付き合ってくれる、マサの人柄のお陰です。
そんな彼ですが、一つ不思議なところがありました。
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source : 週刊文春 2025年11月20日号






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