
脳の中に五線譜があるとすれば、音楽はときどき記憶のパスワードだ。ある階律が、メロディが、古く奥へしまわれていた思い出のとびらの鍵を、カチリと開ける。
音楽の収集は時を経るごとに蓄積されていくが、普段はほとんど忘れてしまっている。特に現代はサブスクが発達していて、聴きたいと思った曲は、曲名かアーティスト名を検索できれば、すぐに聴くことができる。
しかしこの“検索”という作業が曲者で、気づけば同じ曲名しか頭に浮かんでこない。もっと色んな年代の、バラエティに富んだ曲を自分は知っているはずなのに、という確信があるにもかかわらず、同じ曲ばかり聴いている。
ならば、と次々とサジェストされる関連曲を手当たり次第聴いてみるものの、大概どれもしっくりこない。というのも今やサブスクに登録された音楽は有名な曲だけに絞っても膨大にあり、その中から自分にとって特別な曲や、曲名や歌手名は知らないけど町なかやテレビで流れてきて心にささった曲を見つけ出すのは至難の業なのだ。
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
-
月額プラン
1カ月更新
2,200円/月
初回登録は初月300円
-
年額プラン
22,000円一括払い・1年更新
1,833円/月
-
3年プラン
59,400円一括払い、3年更新
1,650円/月
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2025年12月25日号






お気に入り記事