慶長5（1600）年9月14日の夜、石田三成は雨中、大垣城を出て、西へと向かいます。

　三成のもとへは、徳川家康が美濃の赤坂に到着、東軍を率いて、三成の居城である近江の佐和山城を目指しているとの報せが入っていました。石田軍の本隊は、当然、三成とともに美濃に出陣していますから、佐和山城は兄の石田正澄(まさずみ)ら3000人足らずの兵しか残っていません。京(きよう)極(ごく)高次(たかつぐ)の寝返りで、交通の要衝である近江大津城も一時は東軍方となっており（14日に小(こ)早(ばや)川(かわ)秀包(ひでかね)、立花(たちばな)宗茂(むねしげ)らによって取り戻します。第15話参照）、佐和山城まで落とされては、京大坂の豊臣勢が危うくなることは必至です。東軍の動きを阻止するため、三成以下西軍の諸将は、大垣から、南宮山の南側を走る牧田路ルートで、関ヶ原に入ったのです。

家康の周到さ

　ここで、あらためて東西両軍の配置を確認しましょう（＊下の布陣図参照）。

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