「情報は知識にあらず」。これはアインシュタインの名言だが、この後に「知識とは唯一経験から得られるものだ」と続く。表面的な情報の収集やその蓄積だけでは理解したとは言えない。将棋にも取り入れられる考え方だと思う。

 今の棋士は、いや自分は情報に振り回されてはいまいか? 膨大なデータ、AIの分析結果を前に考える。棋士生活36年目、悩めるベテラン棋士の構図である。

 その業界に長くいるほど増えるのは経験。それは言い換えればその人だけのスキルである。

 だが、その経験が生きにくいのも将棋。嫌な予感がするから立ち止まって様子を見よう……これが裏目に出たことが何度あったか。

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source : 週刊文春 2026年3月12日号