ここまで賛否が分かれるドラマも珍しい。杉咲花が主演の『冬のなんかさ、春のなんかね』の評価を巡って視聴者の意見は真っぷたつに割れた。
評価というより好き嫌いかな。SNSではドラマ自体と、杉咲が演じる古着屋のバイトをしながら小説を書く土田文菜(つちだあやな)への否定的な反応が目につく。
監督と脚本に今泉力哉の名がある。今泉作品ならではの恋愛ドラマを期待していた層が(あれ、これ違うじゃん。こんなの観たくない)と反撥している感想を幾つも目にした。
おれは、一話から観るうちに、そもそもコレは恋愛ドラマなのかとも思った。普通なら一組のカップルの恋愛の始まりから結末までを描く。途中には裏切りがあり、周囲の妨害もある。二人の気持ちが離れても復縁するケースも。

ともかく恋人たちの劇的な変遷を描くのが、テレビにおける“恋愛ドラマ”の王道だろう。ところがこの『冬のなんかさ』では、杉咲が演じる文菜は、第一話の深夜のコインランドリーで、優しい美容師の佐伯ゆきお(成田凌)と出会い、その数時間後には、彼のアパートに泊まる。
なのに続く第二話、第三話と、文菜は彼氏のゆきおがいながら、毎回違う男とホテルに入る。ベッドシーンこそ描かれないが、何なのこの女って軽すぎっていうか淫乱じゃんって観る側に嫌悪感が湧く。
さらに文菜は性的にルーズな女でなく、他者との関係性に気を使い、性的関係を持った相手とはどう距離をとるか、お互いに負担にならない付き合いは可能か。そこで悩むタイプなのだ。重いドラマだ。
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source : 週刊文春 2026年3月12日号






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