WBCの連覇を狙う日本代表は、3月7日、1次リーグの韓国戦で8対6と逆転勝利した。試合は初回に3点をリードされた日本だが、その裏に鈴木誠也外野手(シカゴ・カブス)の2ランで逆襲の狼煙を上げると、3回には大谷翔平選手(ロサンゼルス・ドジャース)の2試合連発、鈴木の2打席連発に吉田正尚外野手(ボストン・レッドソックス)の大会1号で逆転。同点に追いつかれた後の7回には押し出し四球と吉田の適時打で突き放して韓国を振り切った。

前回WBCは出場できなかった鈴木誠也が大暴れ ©文藝春秋

 メジャー組の大暴れで打撃戦を制した侍ジャパンだったが、劇的勝利の陰では連覇に向けて決断を迫られる問題が見えてきている。

「いやー、勝てて良かったですね」

 試合後の東京ドームの通路に、勝利に沸くロッカーからイの一番に帰路についた先発・菊池雄星投手(ロサンゼルス・エンゼルス)の安堵の声が響いた。

「本当に(韓国は)いい打線でした」

 今大会で8人招集されたメジャー組アベンジャーズの一人として、山本由伸投手(ドジャース)に続いて、大事な韓国戦の先発を託された左腕だが、思わぬ苦しい立ち上がりとなってしまった。

苦しい立ち上がりとなった菊池 ©文藝春秋

 プレーボールのコールから2球目だった。韓国の1番、指名打者の金倒永内野手に甘く入ったカーブを三遊間に運ばれる。そこから3連打を喰らって、あっさり5球で先取点を奪われた。4番、5番は打ち取り2死まで漕ぎ着けたものの、6番の文保景内野手には得意のスライダーを左中間に痛烈なライナーで弾き返された。中堅を守る鈴木がダイビングキャッチを試みたものの、グラブの先をすり抜けた打球が二塁打となる間にさらに2点。初回にあっさり3点の先行を許してしまったのである。

「ヨーイドンで3点ですから。いい流れが作れなかった。(韓国は)いい打線でした。ボール自体はまあまあで、調子は良かったんですけど。1回はちょっと大胆に行きすぎたかなというところですね。本当に(韓国は)いい打線でした」

 試合後の左腕は淡々とこの日の投球内容を振り返った。

 2回は連続三振を含む三者凡退で復調の兆しを見せたかに思えたが、3回もまたピンチを招いてベンチを慌てさせる。先頭の韓国のメジャー組、ジャメイ・ジョーンズ外野手(デトロイト・タイガース)に左前安打を許すなど2安打で一、二塁と走者を溜め、初回に二塁打を浴びた文を打席に迎えると、たまらずベンチの井端弘和監督が交代のために動こうとする。それを能見篤史投手コーチが押し留めて、最後は何とか文を遊ゴロに打ち取ってピンチを凌いだ。

菊池の交代を押し留めた能見投手コーチ ©文藝春秋

 とにかく打たれ出すと止まらない。

 実は菊池は3月2日に行われたオリックスとの強化試合でも初回に4安打を集中されて3失点。この時も先頭の麦谷祐介外野手に3球目を左前安打されると1死から、わずか4球で3連打を浴びてのものだった。

井端監督は「次の登板は期待できるかなと思います」

 投球が単調になって次々と連打を浴びてしまう。ベンチにとっては交代のタイミングが難しく、逆に言えばあっという間に致命的な失点をする危険性を孕んでいる。

 試合後の公式会見。2番手で登板して同点2ランを浴びた伊藤大海投手(日本ハム)と共に、井端監督は菊池のピッチングをこう擁護した。

「2人とも初登板だったので緊張ある中だったと思うんですけど、その後はしっかり投げてくれましたし、次の登板というところには期待できるかなと思います」

菊池をかばった井端監督 ©文藝春秋

 当初の予定では菊池の次回登板は米国での準決勝での先発、あるいは相手がドミニカ共和国もしくはベネズエラが予想される準々決勝での登板も検討されていた。

吉見一起投手コーチ「僕の意見も出しながら…」

 しかしオリックスとの強化試合や韓国戦のような立ち上がりの悪さだと、先発でもリリーフでも大事な場面での投入にはかなりの勇気が必要になってしまう。

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source : 週刊文春