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 “バンカラをこじらせてる”というのは、非常に味わい深いものだ。というのも私が4年間通っていた早稲田は、バンカラ気質の大学だとよく言われていて、それは古い歴史上での話ではあるが、地方から憧れて上京してきた学生ほど、その校風を律義に守った。

 と言ってもさすがに着古した学生服に帽子をかぶり、高下駄を履いてるような、コスプレ学生は私は見たことがなく、粗野な、自分自身をあまり大切に扱わない精神性や、かまわない身なりといった点で、バンカラが活きていた。そのような学生たちは派手ではなかったが、まるで違う時代を生きているようだという特徴のせいで浮き上がるように目立ち、ただ大学内をうろうろしてるだけでも、その景色を一世代前の古ぼけた色合いに変えた。

 在学中見かけたなかで、一番印象に残っているのは、冬でもビーチサンダルを履いた男子学生だ。髪は伸ばしっぱなしのザンバラ髪で、あまり栄養状態が良くなさそうな、ひょろりとした長身。でも弱っている風ではなく、とがった肩には武骨な生命力が宿っていた。

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source : 週刊文春 2026年3月26日号