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 大学生の息子が「将来何になりたいかわからないから、とりあえず休学して海外を放浪したい」と言い出しました。コスパばかり気にする今の若者にしては珍しいと夫は笑いますが、私は就職に不利にならないか不安で大反対してしまいました。子どもの失敗を先回りして防ごうとする私は、親としての度量が狭いのでしょうか。

(52歳、女性)

 まずひとつ言わせてね。あなたとお父さんが別々の意見を言ったことは、実は大成功なの。

 何故かというと、息子さんは2人から「海外放浪はいい選択だと思う」と言われたら、かえって行き場がなくなってしまうはず。逆に2人から同時に「やめろ」と言われても、やっぱり逃げ場がない。

 でも、あなたの家ではお母さんが「反対」と言い、お父さんが「賛成」と言った。だから、息子さんは将来、どちらかに必ず戻って来られるわけだよね。たとえ海外放浪の挑戦がどんな形に終わっても、「父ちゃんの言う通りだったな」「母ちゃんの言う通りだったな」と、必ず着地できる場所がある。それは息子さんの将来にとって、とても大事なことだとぼくは思うんだ。だからこそ、「賛成」したお父さんに対して、あなたが「大反対」したのはよかったの。度量が狭いのではなく、いわば親としての役割分担のようなもの。お母さんは正しいことを言ったんだ。

 その上で1つ付け加えるなら、反対する側にはもう少しだけ工夫がいることかな。具体的には「やめなさい」と言い続けた後、それでも海外放浪に息子さんが行くのであれば、最後に「仕方ないわね。行ってらっしゃい」と声をかけてあげて欲しい。ずっと反対をしていた人の「行ってらっしゃい」は、子供にとってとんでもなく大きな言葉になるの。その「言葉」がバネになって、倍ぐらい頑張れるようになるからだ。

 逆に最初から賛成していた人はその言葉が言えない。言葉の力とはそういうもので、人にとって最もドラマになるのは「反対していた人が認めた瞬間」。お母さんはその役割を果たせる立場にいるんだ。

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source : 週刊文春 2026年6月11日号