ここ数年、山﨑邸ではしばしば、雑談しながら山﨑氏の話を聞く「腹式の会」を不定期に開催してきた。出席者はアライ(新井和之・俳優)、ウダ(編集者)、サカマキ(友人)。

アライ 長く舞台と映像の両方で俳優をされてきましたが、何か違いってあるものですか。

 そうだね、まず舞台のほうから話そうか。

 もうやめちゃってるから、今の芝居作りってよく分かんないけど、僕らの修業時代、若い頃は演出家っていう偉い先生がいてね、それで俳優は生徒なわけ。で、その演出家っていう先生の上に、戯曲を書いた戯曲家がいるわけだね。で、例えば、僕ら俳優が、疑問があって先生に聞く。そして先生に疑問があると原作者に聞くと。そういうなんだかね、先生と生徒の関係になってたんだね。

 でも、本当はそうじゃないんじゃないか。それは今もそう思うけどね。

(戯曲を書いた人が)当時は、大先生なんだ。

 例えば、僕の初舞台の「熱帯樹」では、大先輩が相手役で、で、その上に演出家がいて、その上に三島由紀夫さんっていう戯曲家大先生がいるわけだよね。で、先ず三島さんが来て、原稿を読む。それを演出家と、主だった俳優、3、4人が拝聴するんだよ。三島さんは何かを教示する気は全くないようで、せりふを口にするのを本当に楽しんでいた。多少の恥ずかしさもあったんだろう。椅子の上に猫のように丸まってね、活きいきと男女の声を使い分けたりして。だからそれはそれで非常に面白く、拝聴したけどね。

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source : 週刊文春 2026年6月11日号